よく晴れた寒い日曜日に、妻と息子と三人で近くの大きな公園に行った。
三人でここに来るのは久しぶりな気がした。
ふいに妻が、「あ、鳥の巣」、と言うので、彼女が指差す方を見上げた。
その落葉樹の高い木の無数の枯れた枝の中に、大きなヤドリギがあった。
「あ、あれは鳥の巣みたいだけど実はヤドリギだよ。大きなヤドリギだね」
と答えたら、
「へえ、あれがヤドリギなんだね」
と、意外に興味を持ってくれた。
息子は既にだいぶ遠くの方を走っている。
「ヤドリギ、なんとなくずっと探してたんだ。クリスマスの時期に興味を持ってー」
自分は嬉しくなって、ヤドリギの生態などについてついつい語り始めたら途中から彼女の興味が失せたのが分かったのでこの話は終わりにした。
でも立派なヤドリギでなんとなく見とれてしまって、気づいたら妻は息子の方に駆けて行った後で、二人は遠くの方に見えた。
自分は急いでヤドリギを写真に収めようとiPhoneで撮影しようとしたら、夕方の澄んだ空に月が出ているのに気づいた。綺麗な月で、ヤドリギと一緒に写真に収めて、二人の方に走っていった。
翌日の月曜日の夕方は、妻の誕生日のお祝いに恒例の海老名のお店に行った。義理の両親と妹との待ち合わせには時間があったので、それまで三人でビナウォークで遊ぶ事にした。
息子は相変わらず元気が漲っていて、すごい速さで階段を駆け上り始めて、再び遠くの方にいる。
その様子を妻がiPhoneで撮影して、家族LINEに送ったものを見たら、昨日と同じ月が、同じ色の空に浮かんでいた。
「この写真、月が入ってるね。意識して入れたの?」
と聞いたら、
「そうだよ、綺麗だよね」
と、なんの気なしに妻が答えたことがなんだか嬉しかった。