越中富山の薬売りで有名な富山の売薬は医薬品配置販売の通称で、
先用後利(用いることを先にし、利益は後から)が基本理念となっている。
富山の売薬には面白い逸話がある。
17世紀後期、富山藩第二藩主、前田正甫が江戸城で腹痛になった
三春藩主の秋田輝季に反魂丹を服用させたところ
腹痛が驚異的に回復した。(江戸城腹痛事件)このことに驚いた
諸国の大名が富山売薬の行商を懇請したことで有名になり
全国どこでも商売ができる「他領商売勝手」が発布された。
ここは薬都とやまの伝統を今に受け継ぐ越中反魂丹本舗
「池田家安兵衛商店」
かつての製薬倉庫や居住空間を吹き抜けにした店内。
1階では和漢薬の販売、漢方相談、製薬・健康茶などを扱っている。
又、この建物は富山の中心市街では最も古い木造建築物の1つだ。
お店に入ると最初に「越中反魂丹」の説明を受ける。反魂丹は
江戸時代に製造が始まった富山を代表する薬。動・植物性の製薬を
効果的に組み合わせて作られている。ここでは昔ながらの
職人技を見ることができる。「越中富山の反魂丹、鼻くそ丸めて
万金丹、それを飲む奴ァあんぽんたん」すごく懐かしいフレーズだ。
店内には当店の歴史を感じさせる写真が展示してある。
当店は創業昭和11年、初代池田実が和漢薬種問屋として暖簾を揚げた。
そして戦後まもなく江戸時代に一世を風靡した
「反魂丹」の製造販売を始めた。
当店は昔ながらの「座売り」に拘っている。和漢薬は症状のほか
体力や体質などの証に応じて処方される。この証を詳しく正しく
導き出すためにはお客様の話をしっかり聞くことが大切だとか。
店頭では懐かしいレトロなパッケージ袋が目白押しに並べられている。
1つ1つよく見ると袋の絵と薬名がおもしろい。
例えば解熱鎮痛アスナオール、頭痛歯痛薬ケロール、
ズバリ、セキトマルそして有名なケロリン。
この黄色のケロリン桶は温泉、スーパー銭湯などでよく見かける。