砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

ザ・なつやすみバンド『映像』

2018-09-26 20:27:16 | 日本の音楽


アルバムのいい画像が無かったので、画像は先行シングル。

ずっと風邪を引いております。
とはいえ一貫して体調が悪いのではなく、時々良くなるのです。良くなった時に調子に乗って酒を飲み「朝起きてからメチャクチャ寒いし…」状態(注)になって、再び体調を崩しているのです。馬鹿ですね。ちなみに「馬鹿」はサンスクリット語のmoha(無知)を語源とする説があるそうですよ。そんな話はどうでもいいか。



お彼岸を過ぎていよいよ夏も終わったし、今日は9月5日にリリースされた、ザ・なつやすみバンドの4枚目『映像』を。今年は彼らの結成10年目、そのためかジャケットに「10」の影が映っています。さて気合い入れて全曲書いていくぞ~ウオォ~ズバズバズバズバ(謎の効果音)。

M1「風を呼ぶ」
1曲目からアップテンポなのは初めて。Bメロとアウトロのベース、サビのメロディが好きです。サビの雰囲気が若干アニメのOPっぽく感じる、キャラクターが走ったり戦ったりしてそう。
それから「頼りないあいつ」とかいう歌詞、良い。中川さんにそんなことを言われたい人生だった。まあ、いろんな人から罵倒気味に言われてはいるけれど。財布やパスポート落としたりしているからね、ハハハハ。

M2「蜃気楼」
彼らの新境地、といった感じの、ミツメとのコラボ極。空間広がる系音楽です。アジカンの後藤さんも面白い曲だと言ってましたね。ドラムがいろんなところから聞こえる。ブリッジミュートかけて刻んでいるギターが好き。

ザ・なつやすみバンド - 蜃気楼 [TNB×mitsume]


M3「echo (Renew)」
Renew、とあるけど昔のヴァージョンを私は知りません。初期にライブ会場で出してたCDにも、正式にリリースされてるアルバムにも入っていないんだよな。昔のシングルに入っていたのかしら。2nd『パラード』の頃のような、アコギが入って淡々とした、寂しい曲。笛の音が綺麗。

M4「喪のビート」
こちらはMC.sirafu作曲。BPM150程度、ストレートで力強いビートに淡々としたシンセとピアノのコードが乗っていく、後半はメンバー全員で輪唱のようなことをやっています。「喪の」というのは白黒を意味する「mono」とかかっているのでしょうか。相変わらず中川さんの声が素敵。それから2回目のAメロのベースの入りも格好いい。本作ではかなり好きな一曲。

M5「Future Heads」
フィーチャリング、エンジョイミュージッククラブ。ホーンが奏でるメロディ、カッティングギターが切ないオサレ曲、いかにも最近の音楽って感じ。シチュエーションとしては昔付き合っていた女性と映画館で再開した、というもの。背後の子ラースではところどころ「かこ、みらい」「すき、きらい」と韻を踏んでいる。タイトルのFuture Headsというのはイギリスのバンドと関係があるのかしら、昔聴いてたBGMの話をしているし。この曲もMC.sirafu作。

M6「S.S.W (Renew)」
こちらは2nd『パラード』の6曲目からの再録。以前のバージョンではシンセの音がメインだったけれど、本作ではトロンボーン、フルート、パーカッションが入っている。最近のライブではずっとこの編成でやっている気がします。「毎日が夏休みだったらいいのになー」という歌は、パラードverの方がもっとわくわくする口調というか、子どもっぽく聴こえていたのだけれど、本作だと大人が投げやりになって(?)というか、諦めながら口ずさんでいる、そんな風に聴こえるのです。

M7「夏休み(終) (Renew)」
空気公団の山崎ゆかり氏がゲストヴォーカル。意外にも山崎さんの声に合う、教育テレビで流れそう。やはり名曲。この曲を聴くためだけでもCD買う価値があるのではないか。チェロが美しいし、トランペットとの掛け合いもよい。

M8「ミュージカル」
こちらもみんなの歌枠。純粋にいい曲、って感じ。このアルバム最後の盛り上がりか。

M9「絵になる最初」
途中からテンポがアップする。なんだか後期キリンジっぽい曲だな~と思ったのは私だけでしょうか。テンポの変化は面白いけれど、あまり印象に残らない曲。アウトロで思い出したかのように打ち込みが入っている。

M10「バンドやろうぜ!」
タイトルからそっぽを向くように、落ち着いたトーン。やはり締めくくりは、バンドを組んで10年経ったことを総括する曲。でも「バンドだ~イェイイェイ!!」みたいな雰囲気ではなく、「まあ、人集まって、色々やってきたんですよ…」と遠い目で語るというか、そんな曲です。ビックリマークがついているのにテンションが低い、でも綺麗な曲。その辺はキリンジの「CHANT!!」や「Music!!!!!!!」とも似ています。どんだけビックリしとんねん。ちなみにこの!の数はテストで出るので覚えておくように。


全体的な印象
率直に言って10曲しか入っていないのが悲しい(前作は12曲入り)。多ければいいわけじゃないけど、ミスチルの『I love you』を聴いた時と似ていて、既存曲が多い印象。10曲のうち3曲がRenewだし、1曲はシングルで先行リリースされていたし。
それでも彼らがこのタイミングで本作を出したのは、ある種の走馬燈的な、今までやってきたことの「まとめ」の意味を持つからなのでしょうか。1st『TNB』を出して間もない頃、下北沢で空気公団と2マンやっていたし、最近は色んな人とコラボしてます。活動するなかで沢山の人と知り合って、みんなで音楽を奏でたい。そういう1枚を作りたかったのかな。好意的に解釈すれば、ですが。

アルバムのまとまりを考えるとやはり前作に軍配が上がる気がする。新しい局面に踏み出し、色々やりたいことがあって、まだまとまり切っていない、そんな印象を受ける作品。もちろんM1、M8みたいなシンプルでいい曲もあるんだけれどね。それと、前作よりMC.sirafuの作曲が増えた気がします。邪推かもしれないけれど、バンド内の人間関係というか、力関係も少しずつ変わってきたのかな、なんて。
それから。本作はサポートありき、の音楽になっている気もしていて。もちろん初期からヴァイオリンが入ることもあったけれど、前作までは「4人で再現できる曲」の割合が高かったと思うけれど、今作は普段のライブの時にサポートが入ることをあらかじめ想定されて作られている感じが強くて。それはそれで、ちょっと寂しくもあるかな。4人が奏でるバンドサウンドが好きだったものだから。だってザ・なつやすみ「バンド」なんだもの。そんな彼らは今後どうなっていくのだろう。今ちょうど過渡期に来ているのかもな、なんて思ったりしてるわけです。



昔の空耳 その0285


空耳アワー参照。これはビースティ・ボーイズの曲だったか。もっとも好きな空耳のひとつ。「マジ痛ぇなこの!あっこうなるよね…」とか「雑誌洗って、穴に埋めてェェ!!」の穴に埋めるシリーズ、「みりん!!?ぽいな!!ぽいな!!!」とか「愛してんだろ?愛してんだろ?」の何故か脱いでるシリーズも好き。