【悲報】この世は結局お金こそマネーだった!?
みなさまお元気ですか。
緊急事態、宣言していますか。
昨年の今頃もちょうど世間がばたばたしていた記憶があります。そのとき自分は暇だったんで漱石を読み返していました、職場で。
今年も暇になってきたので、頑張ってあれこれと本を読んでいます、職場で。
最近面白かった本。
小坂井敏晶氏の『社会心理学講義』
小坂井氏は前回の記事で『責任という虚構』を取り上げましたね。あちらは人間の自由意志や責任は虚構によって成り立っている、という話でした。本著は社会心理学の研究、特にフェスティンガーの認知的不協和理論を引き合いに出し、社会現象や集団心理、人間の意思決定の「常識的」な枠組みに疑問を投げかけていく内容です。
まだ読んでいる途中なのですが、これが面白くて。単純に社会心理学の内容だけじゃなくて、哲学や社会学の内容も総合されていて、とにかく情報量が多い。読み返さないと内容の咀嚼が難しそうです。
プリーモ・レーヴィの『休戦』
こちらはノンフィクション小説。イタリア系ユダヤ人の筆者が、ポーランドのアウシュヴィッツ収容所から故郷のトリノへ帰るまでの道中を描いた作品。広くいえば旅行記のカテゴリーに入るでしょうか。
旅行記といえども、その出発点がアウシュヴィッツなので、物語は大きな混乱から始まります。多くの同胞の死にさらされて、生き残れるかわからなかった主人公が、本当に帰れるのか、どうしてあんな残酷なことを人間ができたのか、さまざまな疑問を頭に抱きながらも祖国を目指す。胸が熱くなる話でした。
この本は放送大学の講義でダンテの『神曲』が扱われているさいに紹介されていました。明日にも死ぬかもしれない収容所の生活で、ダンテの神曲について他者と語らうことで生きる希望を失わなかった主人公。その姿に触れてみたくて、この作品を手に取りました。
上記に挙げた2冊に共通しているのは、いずれもホロコースト(ユダヤ人の大量虐殺)に言及している点です。そういえば村上春樹の一番新しい長編『騎士団長殺し』でも、ナチスドイツの台頭が途中で描かれる場面がありましたね。
ホロコーストは他人ごとではない。
状況が整えばどんな人間でも同じような行為に踏み出す。社会心理学者のミルグラムの「服従実験」では、そのような結果が導きだされています。YouTubeにも実験動画がありますが、いやいやながらも実験者の指示に従い、参加者は電流の強さをあげていく。それに真っ向から抗い、実験をやめる人はごく少数でした。
ホロコーストは他人ごとではない。
でもそれを「自分の」こととして考えるのは難しい。
当然です。仕事、家族、税金、将来…他にも考えなくてはならないことが沢山あります。いちいちそんなこと考えながら生きていられません。
とはいえ。
人間がどこまで残酷になれるのか、人間の「自由意志」がいかに薄弱で虚構によるものか、知りたいとも思います。いつかアウシュヴィッツ収容所を見に行きたい。遠いけど。
前置き(?)が長くなりました。
さて表題の件、ウマ娘に飽きてきた話を少々。
以前このブログの記事でゲームのウマ娘が「細かな達成感を得やすく、ハマりやすい仕組みになっている」と書きました。
しかしながら。
リリースから2ヶ月経ちました。
あれだけハマっていたウマ娘が、ここ最近楽しくなくって。ただなんとなくやっている感覚、いわゆる「作業」になりつつあります。少なくとも自分にとっては。それがどうしてなのか。今日はそれについて個人的な所感を述べたいと思います。
1つ目は「期間」です。
繰り返しになりますが、リリースされて2ヶ月経ちます。
純粋に2ヶ月熱中してやり続けることって、まあ難しいですよね。
どんな面白いこともずっとやっていたら飽きるものです。これはウマ娘たちのせいではありません。
短期間に繰り返しプレイした影響が大きいのでしょう。もっとのんびり、細く長くやる方がいいのかな。
2つ目は育成と因子厳選の「作業感」です。
自分が獲得したウマ娘たちを育て、ひととおりのグッドエンディングを見ました。
そうなると、あとやることは3つに大別されます。
➀より強いウマ娘の育成
②因子厳選
③対人戦
これらのうち➀育成と②因子厳選が、ここで述べる「作業感」に該当します。
より強いウマ娘の育成について。
これは➂の対人戦とも関係しますが、優秀なサポートカード(能力値が上昇しやすい、キャラに合ったスキルをくれる、回復イベントがある)を組み合わせて、いかに能力値が高いウマ娘を育てるか、そしてそのキャラを対人戦に出して勝てるか、という流れになります。
育成には運の要素があります、寝不足になったり片頭痛になったり怪しい鍼灸師が来たり。何度も繰り返して、ようやく能力値の高いウマ娘ができあがります。作業です。
因子厳選について。
こちらも運の要素が強いです。5%の確率で☆3因子がつくこと祈り、育成でスピード、スタミナなどの能力をBまで上げていくことになります。
自分が持っているサポートカードだと、スタミナ重視で継承したスペシャルウィークを、根性+賢さ育成をするのが一番安定します。それをひたすら繰り返します。これも作業です。
こういった繰り返しが好きな人もいるでしょうが、自分は確定申告と同じくらい苦手です。
そして3つ目、対人戦における「他者との比較」です。自分にとっては、これが一番の飽きる要因、倦んでしまう原因だったかもしれません。
先ほどクリア後にやることとして挙げた「対人戦」、ゲーム内でチーム競技場と呼ばれるものですね。自分の育成したウマ娘たちをチームに編成し、レースに出して他者のウマ娘たちと競わせるコンテンツです。
実際の競馬も天候や枠順、馬のコンディションが影響するように、ある程度運の要素も強いです。
調子が悪くても、格上の相手にひょっこり勝つことがあります。
でも繰り返しているうちにランキングがあがってきて、勝てないことが増えました。
そして相手の育成情報を見ると、それはもうレアリティの高いウマ娘を用意し、サポートカードもしっかり強化なさっているのです。SSR(レア度が高いやつ)のカードもたくさん持っているのです。
とうぜん「何回ガチャを回したんだろう」「いくらお金を費やしたんだろう」という疑問が浮かびます。なんだよ、結局金が勝つのか。この世は資本家に搾取される宿命なんだな…この斧で借金取りの老婆を殺すしかない、これは正義の行為なんだ。そう思いつつ、対戦相手のゴージャスな布陣を見て数分間絶望しました。
―悪いなのび太、このレースはSSR限定なんだ。
どこからか、そんな幻聴が聞こえました。ウソです。
こうして私はスマホゲームに世の中の縮図を見てしまった気持ちになり、悲しくなりました。
「基本無料」で遊べるからくりはここにあります。
開発側はクオリティの高いものを出すぶん、資金を回収しなくてはなりません。たくさんの声優さんが起用されているし、イベントも多ければ新しいキャラも次々出て、きっと開発にはお金がかかったことでしょう。
だからこそ。
以前書いたように、細かい達成感を得やすい仕組みにしたうえで、ぎりぎりで勝てなかったり、うまくいかなかったりを体験させる。ユーザーはフラストレーションを感じます。
もっと安定して育成したい、もっと勝てるようになりたい。じゃあどうすればいいか。あとはわかるね?(このへんからうしろでABBAが大音量で流れ始めます、Always sunny In the rich man’s world, Aha…)
ちょっと前まで、スプラトゥーン2のサーモンランというモードをよくやっていました。
あちらは課金によるパワーアップがありません。仲間運もありますが、自分の実力で打開できることも多々あります。だからこそ、自分がいい立ち回りをしたり判断力があがったり、仲間とうまく連携できたりしたときの喜びはひとしおでした。
手っ取り早くはないけれど、着実に上達している。そういった感覚を得ることができました。
でも。
ウマ娘は細かい達成を得やすいぶん、その達成感は持続しません。
もっと勝ちたい、もっと欲しい。人間の欲望に素直に働きかけてきます。
それが悪いとは思いません、むしろ「よくできているな」と感心するくらいです。
そのメカニズムに意識的になったとき、このゲームを素直に楽しめなくなっている自分に気づきました。
もちろんそれぞれのウマ娘はかわいいし、レースに勝てたときの喜びは大きいです、特にナイスネイチャがかわいいです。
しかし、少なからぬお金が動いているのに注意が向くと、マネーパワーを意識するとどうしてもげんなりしてしまうのです。ゲームをやっているのに結局現実を見ているみたいで。単純に自分に金がないっていうのもあるんですけどね、ワハハハ。やかましいわ。
話の着地点が見いだせなくなってきました、疲れてきたので今日はこの辺にしといてやろうと思います。
みなさま、よい緊急事態宣言をお過ごしください。私は楽しみにしていたGW中のライブが無くなりそうで、爆発しそうな気分です。爆発したら風に乗ってアラスカを目指しますので、どうぞよろしくお願いいたします。