砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

王舟『Picture』

2021-01-18 14:13:14 | 音楽


あけましておめでとうございます。

当面、コロナウイルスが収束する見込みはなさそうです。
友達に会いたい、家族に会いたい、旅に出たい。
今までなんとなく我慢できていたけど、休みが終わって労働に駆り出され、いよいよ辛くなってきました。特に「いつまでこの状態なのか」見通しが立たないのが辛いところです。さっそく現実逃避にブログを書きます。



最近まあまあ忙しくて。
平日はわりと真面目に仕事や勉強をしています。休日は音楽を聞きながら、ぶらぶら散歩して過ごしています。
風呂にゆっくり浸かり、みかんを食べて植物に水をあげています。
あとは料理もしていて。最近だと小松菜のおひたしとミネストローネが近年まれにみる会心の出来で、すさまじい手ごたえを感じました。
ごはんが美味しいって素晴らしい、最高にハイってやつだァーッ。


そんなわけで最近聞いている音楽を。
王舟(おうしゅう)という方の「Picture」というアルバムです。上海出身の日本在住アーティスト、この作品は2枚目で2016年リリース。1作目はバンド編成でしたが、本作はすべて宅録によるものだそうです。
宅録と言えば初期の中村一義、TOMOVSKYとか、トクマルシューゴあたりでしょうか。でも最近、あんまり宅録って聞かない気がします。なんでだろうね。

それはともかく。
この作品は宅録かつ全部1人で作られたこともあってか、いい意味で「間延びしている」感じがあります。バンドでやっているとギターが前に出てくるところ、ドラムのフィルをキメるところなど、あちこちに「聞かせどころ」「出どころ」を作りたくなるものなんですが、この作品はそれがなく。純粋に曲のまとまり、音の重なり、そしてアルバムのまとまりで勝負に来ている印象を受けました。Haruka Nakamuraとかもそうだけど、好きですそういう作品。

あと最近ナラ・レオンやイヴァン・リンス、マルコス・ヴァーリなどの南米音楽をよく聞いていたので、この作品のなかにちりばめられている南米要素(ボサノバのコード進行やスティールパンの音)が、耳に馴染みやすかったように思います。

好きな曲。
M1 Roji
この曲のタイトルは、ceroの高城さんがやっている阿佐ヶ谷のバーRojiともつながりがあるんでしょうかね。
Rojiのコンピに王舟さんも参加していたみたいだし。
シンセが入ってくると一昔前のCMソングって感じで、思わず街に繰り出したくなるような、のっしのっしという感じのリズムが心地よい曲。

M2 Hannon
代々木上原あたりのカフェで流れてそう。ボサノバを基調としたギターが流れ、鍵盤や軽快な口笛や、「ダ ダダ~」というスキャットが乗っていく。散歩しながら聴いているとうきうきします。リプライズの方もギターのアルペジオが綺麗で好きです。

M9 Rivers
インスト曲。
どこかの街のパレードのような、前半はギターだけで打楽器が入って一気ににぎやかに。
でもそこからあっという間に終わってしまって、そのギャップが少し切ない。

M10 あいがあって
花びらがゆっくりと川の流れに乗って、見えなくなってしまう。そんな曲調と歌詞、たぶん。
この曲も2分半。ここでライブ映像でもどうぞ、もっと楽しそうに演奏しなよ、とは思うけど...大きなお世話か。

王舟 - あいがあって - Session at HOPKEN



前半は和やかな曲が多いのですが、後半になると切なさが加速しています。アルバムの前半に4~5分の曲が詰まっているぶん、Hannon(Reprise)以降に短い曲がぽんぽんと続いて、気づいたら終わってしまう感覚があって。
アルバム全体を通して、縁側でほうじ茶を飲むと同時に、異国のお祭りを眺めているような気分になる作品です。


忙しいんで記事は短め。最近はSpotifyであれこれ音楽を聴きつつ、小説を読んでます。
ここ1週間は村上龍を2作品続けて読んで、さて次に何を読もうかな、という状態です。
こういう「次何を読もうかな」と本棚を眺めている時間が好きだったりします。

ささやかな日常に価値を、愉しみを見出していかないと、息が詰まってしまいますよね。
人それぞれですが、音楽も本も、私にとってはそういう存在です。
みなさまどうかお元気で、また会いましょう。