眠い。
街角のモクレンやコブシは白い花をぽとぽと落とし始め、桜はすでに八分から九分咲きの状態になってきて、景色に鮮やかないろどりを与えています。
春になってきました。
とはいえ寒い日と暖かい日の差が大きく、「三寒四温」といった言葉が表すようではありません。暖かい日が来たと思ったら翌日には寒くなっている。昨日なんか雪が降りやがって。この変動の急勾配に、なかなか身体がついていかない。
人間の身体は恒常性を求めます。このシステムのことを「ホメオスタシス」と言うそうです。もとはギリシャ語ですね。我々の自律神経やホルモンは、知らず知らずのうちに体温や脈拍、血糖値を一定に保とうとしてくれます。
しかし周りの環境は待ってくれない。時間は流れることをやめず、季節は着実に通り過ぎていく。一日のなかでも晴れたり曇ったり、雨が降ったりする。自然環境だけではなく、社会的環境の変化もあります。学校や職場は年度末で忙しいし、異動や人の出入りもあり。コロナウイルスも流行るし、オリンピックも中止になれば和牛商品券が配られる。そういった変化は人間に―個人差はあれども―大きなストレスを与えます。
個人内の変化もあります。自分の成長を喜ぶ場合もあれば、年を重ねて老いを感じる瞬間もある。自分の話で恐縮ですが、昔より食べられる量が減りました。でも太りやすくなりました、どうしてなんだろう。コレガワカラナイ。
そんなわけで。
時間は待ってくれない。数日前にワニが死ぬ話が話題になっていましたけれど、我々もいつかは死ぬわけですよね。焦ってどうにかなるわけではないけど、今この文章を書いている自分も読んでいるあなたも、やがて死ぬのだと思うと不思議です。なかなか実感が湧かない。だからこそ、ふだん平穏な気持ちで生きていられるのかもしれません。
前置きが長くなりました。
最近いいなと思った音楽の紹介。
Snarky Puppy「We Like It Here」
何かのラジオで紹介されていて好きになりました。アメリカのはニューヨーク、ブルックリンを拠点とするジャズ・フュージョンバンド。サックスやトランペット、キーボードにシンセにピアノ、ギター3本にベース、ドラムとパーカッション。こうして並べるとかなりの人数が参加しているバンドです。でも不思議なのが、ごちゃごちゃした印象を受けないこと。すごく絶妙なアンサンブルが成り立っている。
ベースの人がリーダーで、作曲編曲の主要な面を担っているようです。彼らは多種多様な音楽に挑戦していて、よりジャズっぽい作品もあれば、モロッコ音楽に傾倒した作品もあったり。それに合わせてか、メンバーも比較的流動性が高い、とラジオでは紹介されていました。
最近新譜を出したのですが、初めて聴くならこの作品がお勧めだと思います。ライブ版なんだけど盛り上がりがはっきりしていて非常に聴きやすい。
好きな曲
What about me?
Snarky Puppy - What About Me? (We Like It Here)
のっけからのドラムに痺れます、めちゃくちゃ上手い。しかしそれがあまりくどくないのが不思議。ギターのフレーズとドラムのフィルがきれいに噛み合っているからでしょうか。ギターソロも格好いい。そしてそこに鍵盤やパーカッションが重なっていくタイミングにカタルシスを感じる。
Lingus
Snarky Puppy - Lingus (We Like It Here)
途中のシンセとドラムがすごいです。拍を崩したフレーズを弾きながらも、要所で噛み合うのは聴いていてとても心地いい。演奏している人たちもすごく気持ちいいだろうな。
関係ないけどベースの人ぜったいねっとりしたセックスしそう、終わった後にねっとりと感想を聞いてきそう。そんな話はどうでもいいか。
彼らの音楽を聴いていると、「きれいに整理されたキング・クリムゾン」って印象を受けます。キング・クリムゾンもある意味では整理されているけど(ディシプリンのあたりとか)、あれとは違うアプローチをしているというか。いろんな音楽を模索し続けている点も似ていますね。求道者のようでもあります。
さてようやく今年度も終わりに近づいてきました。世間はしばらく落ち着かなさそうですね。私も書類仕事や確定申告に魂を圧殺されつつあります。そんなときに音楽を聴いたり本を読んだり、映画を観たり。少しでも落ち着ける時間があることが大事なのだろうなと思います。
大きな不安が渦巻きはじめると、やがてそれは自立的に運動しだして、ものごとがよりややこしくなりがちです。大切なのはまず自分が不安になっていることを自覚することなのでしょう。ブログを読んでくださった皆様が、少しでも早く平穏な生活を取り戻せるよう祈っております、加持祈祷!!