幼い子どもの感性を育むためには、保育園の園庭で遊ばせることが大切です。
しかし、現在は園庭を持たない保育園が増えているといわれています。
今回は、園庭がない保育園が増えた理由や、園庭の必要性、園庭作りのポイントについてご紹介します。
東京では園庭のない保育園が増えている
東京都内の認可保育所には、園庭がないところが増えています。
特に、都心に近い保育園の場合、園庭のスペースを確保するためには、地価が高すぎるため、基準を満たした園庭を持つ保育所はかなり少なくなっています。
東京は全国でも圧倒的に待機児童が多い自治体です。例えば、文京区では、2006年から2016年までの間に、
認可保育所を31カ所増やしましたが、基準を満たす園庭を持つ施設はありません。また、目黒区では、私立の認可保育園35園のうち、約8割の28園に園庭がない状態です。
目黒区では待機児童の問題を解消すべく認可保育所を新設していますが、地価が高いこともあり、園庭の確保が難しい現実があります。
午前中は公園の争奪戦に
認可保育園となるための基準の一つに、園庭は公園や広場などで代替できると記されています。
そのため、園庭のない保育所の子どもたちは、近所の公園まで遊びに行くことになります。
しかし、園庭のない保育園が多いため、公園にはさまざまな保育園の園児が集まることになり、
安全に遊べる状態ではなくなっており、園児を見守る保育士たちの悩みの種となっています。
子どもの感性を育むため園庭の必要性
幼児期の子どもの感性を育んでいくためには、園庭での遊びはとても大切です。
北欧では「森の幼稚園」といって園舎などの建物がない森の中での活動を大切にしています。
子どもたちが、豊かな自然の中で遊びながらさまざまな感性を育んでいけるように、こういった学びの場が用意されています。
このような活動が行われているのは、子ども時代の原体験がその後の成長や人格形成にとても重要だと考えられているからです。
子どもたちの心身の成長に欠かせない運動能力や挑戦意欲は、幼児期に基礎ができるといわれています。
子どもたちは、自然の中で体を使って遊ぶことで体を養い、例えば木登りなどを「できるようになるまで挑戦する」といった意欲を育ていくことができます。
また、木や土、水などの変化を楽しみ、自らの手で形作ることで、豊かな感性や表現力などを身に付けていきます。
自然の中で過ごすことで、自然の美しさだけでなく、怖さなどさまざまな感情も養っていくこともできます。
また、園内の一斉保育や家庭では、先生やお父さん、お母さんといった大人たちの指示にそって動くことが中心となります。
しかし、自我を意識し始めると受け身ではなく、自分の意志で動くことも増えてきます。
そういった時期を迎えると、自分以外の存在に気づきますのでまわりのお友達との関係性も身に付けていく必要があります。
園庭で自由に遊ぶ中で、自主的に行動する意欲や勇気、譲り合う心など協調性やリーダーシップなどの社会性を育むことができます。
そういった意味においても、自由に遊べる園庭が必要です。
園庭を作るうえでのポイント
園庭を作る場合、押さえておきたいいくつかのポイントがありますので、紹介していきたいと思います。
【大型遊具や総合遊具は園舎から離す】
子どもたちが大好きな滑り台などの大型遊具は、園舎から離れた位置に配置するのがポイントです。
これは、遊具まで駆けだす子どもたちの運動量を確保するための配慮です。ほぼ、毎日遊ぶことになる遊具を目指してかけっこすることで、日々の運動量を積み重ねていきます。
【園庭の中心にトラックを設置する】
園庭として確保できるスペースにもよりますが、園庭の中心にはトラックが設置しましょう。
これは、子どもが自由に走り回ったり、ボール遊びなどをしたりすることによって、身体能力を高めたり、協調性を育んだりすることができます。
【サーキット遊びができるよう考慮する】
サーキット遊びとは、子どもの体力や運動能力をアップさせるための遊びのこと。複数の遊具を組み合わせ、
それらをめぐって遊びながら、子どもたちの基礎的な体力を高めることができます。
そのため、サーキット遊びに効果的な遊具の配置を考えたり、年齢別にサーキット遊びができるモデルコースを設定したりすることも必要です。
【死角がない園庭にすること】
遊具がたくさんあり、思う存分遊べる園庭は楽しいですが、子どもたちの安全を確保するための配慮も必要です。
園舎にいる保育士など、子どもたちを見守るスタッフから死角のない園庭作りをすることが大切です。
遊んでいる最中の事故を防ぎ、万が一の防犯にも効果的な園庭なら、みんなが安心して遊べる園庭となるでしょう。
保育園にとって園庭は、欠かすことができない要素の一つといえます。子どもの成長を支え、感性を育める園庭について配慮しながら、
保育園の開設を考えてみてはいかがでしょう?
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