保育園には認可保育園、認証保育所、無認可保育所などの種類があり、
それによって費用や保育内容が変わってくるということは多くの方がご存じでしょう。
しかし、幼稚園にも種類や基準があることは知らなかったという人も多いのではないでしょうか。
ここでは、幼稚園の種類や基準などわかりやすく紹介します。
↑当社設計のH保育園
幼稚園の種類
幼稚園の種類をご紹介する前に、幼稚園と保育園の違いを詳しくご存じでしょうか。
保育園は「両親が働いている人が預けるところ」、幼稚園は、「働いていなくても預けられるところ」というイメージをお持ちの方も多いはずです。
まず、大きく違うのが国の管轄と、基準となる法律です。保育園は、「児童福祉法」という法律に基づいており、国の管轄は厚生労働省です。
そして、幼稚園は、「学校教育法」という法律に基づいており、国の管轄は文部科学省になります。
ざっくりとわけると、保育園は「家庭にかわって保育をするところ」、幼稚園は「教育を受けるところ」です。
さて、幼稚園と保育園の違いを知った上で、「幼稚園」も保育園のように「認可幼稚園」と「認可外幼稚園」に分かれるということを説明していきます。
認可幼稚園とは
幼稚園を設置する際の基準は、学校教育法を元にした「幼稚園設置基準」に定められています。
その中の例として、“幼稚園”と名乗るためには、「幼稚園としての目的にふさわしいもので、近隣にある別の幼稚園と同じ名前でなく、かつ紛らわしくないもの」である必要があります。
そして、1クラス35人以下で、園全体が3クラス以上であることなども基準として定められています。
他にもさまざまな基準がありますが、0歳からの子どもを1日8時間以上預かる保育園に比べると基準は緩やかです。
これらの基準を満たしたうえで、幼稚園がある自治体に認可を申請し、受理されると晴れて「認可幼稚園」となるわけです。
認可されると国や自治体から補助金が出るというメリットもあります。
認可外幼稚園とは
学校教育法を元にした「幼稚園設置基準」を満たし、自治体に認可を申請し、受理されると「認可幼稚園」になるのに対し、
基準を満たしていないものは「認可外幼稚園」となります。
認可外“幼稚園”と書きましたが、実際には基準を満たしていない場合“幼稚園”を名乗ることができませんので、実際は、
「幼稚園に類似した施設」といった扱いになります。
基準を満たしていないから「悪い」というものではなく、認可外幼稚園にもメリットはあります。
例えば、定められた基準にとらわれない教育が受けられる、バイリンガル教育、少人数でアットホームな教育が受けられるなど、
認可幼稚園とはまた違った視点で保育が受けられるところもあります。
ただし、認可外の場合、認可幼稚園と違って自治体からの補助金がでないので保育料が割高になる傾向があります。
認可基準の比較
認可幼稚園になるためには基準を満たす必要があります。
保育園、そして最近増えている幼稚園と保育園の機能を持ち合わせた認定こども園と比較しながら、3つの認可基準について見ていきましょう。
【根拠とする法律】
<幼稚園>
学校教育法
<保育園>
児童福祉法
<認定こども園>
改正認定こども園法
【目的】
<幼稚園>
幼児を教育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助 長すること(学校教育法第22条)
<保育園>
日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育すること(児童福祉法第39条)
<認定こども園>
幼稚園及び保育所等における小学校就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援を総合的に提供すること
【対象年齢】
<幼稚園>
3~5歳
<保育園>
0~5歳
<認定こども園>
0~5歳
【開園基準】
<幼稚園>
4時間の教育時間 (預かり保育実施園あり)
<保育園>
1日11時間 (1日8時間保育が原則)
<認定こども園>
1日11時間 (1日8時間保育が原則)
【保育料】
<幼稚園>
各園で自由に設定(就園奨励費補助あり)
<保育園>
市が設定
<認定こども園>
市が設定
【食事の提供】
<幼稚園>
調理室の設置は努力義務
<保育園>
調理室必要
<認定こども園>
調理室必要
【幼児教育・ 保育従事者】
<幼稚園>
幼稚園教諭
<保育園>
保育士
<認定こども園>
満3歳未満は保育士資格が必要
満3歳以上は保育士、幼稚園教諭いずれかでも可
職員配置・施設設備の基準について
認可幼稚園になる基準を満たすためには、職員の配置や施設設備の基準についても細かく決まっています。
こちらも幼稚園、保育園、認定こども園で比較しています。
【職員配置】
<幼稚園>
3~5歳児において、原則1クラス35人以下につき1人
<保育園>
0歳児:児童3人につき1人
1・2歳児:児童6人につき1人
3歳児:児童20人につき1人
4・5歳児:児童30人につき1人
<認定こども園>
0歳から2歳児に対しては保育所と同等が望ましい
3歳~5歳児:児童20人~35人につき1人
【必要施設】
<幼稚園>
・保育室・遊戯室(兼用可)
・職員室・保健室(兼用可)
・便所
<保育園>
・保育室又は遊戯室(2歳以上)
・乳児室又はほふく室(2歳未満)
・医務室
・便所
・調理室
・屋外遊戯場
(園の付近にある場所にある公園などに代えても可)
<認定こども園>
・0~満2歳児は、保育所の基準が適用
・満3~満5歳児は、幼稚園及び保育所双方の基準を満たすことが原則
清水義文 (株)SOU建築設計室
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