保育の場でよく耳にするレッジョエミリア教育法。今回はレッジョエミリアの特徴を取り入れるために必要な事柄について、ご紹介していきます。
簡易的なレッジョエミリア教育の実施方法についてもご紹介するので、ぜひ園でも取り入れてみてください。
レッジョエミリアの概略
レッジョエミリアは、イタリア北部にあるレッジョ・エミリア市で生まれた、子どもの主体性を伸ばす教育法です。
第二次世界大戦直後に近くの村の人達が建てた学校で、教育者ローリス・マラグッツィが唱えた100の言葉が元になっています。
ローリス・マラグッツィは初めて公立の幼児教育施設を始めた人物で、教育法を文書ではなく言葉で伝えています。
レッジョエミリアの特徴
レッジョエミリア教育の特徴を大きく3つにまとめてみたので、確認していきましょう。
【子どもたちが主体的に学ぶ】
レッジョエミリア教育には定型的なメソッドはなく、子どもたちの主体性に合わせた教育方針を掲げています。
「子どもたち自身が関心のある内容を学ぶ」を念頭に、本人たちが興味のあるテーマについて話し合いカリキュラムを組みます。
社会構築主義に基づき、個人ではなく集団の中で学ぶのを重視している点も、特徴の1つです。
【子どもの可能性を広げる】
社会性や時間、権利を奪わず、子どもが持っている自主性を高めていくのもレッジョエミリアの特徴の一つです。
ローリス・マラグッツィが唱えたと言われている100の言葉は、子どもが持っている無限の可能性を伸ばしていくことを目的としています。
子ども同士でテーマやルールを自由に決められるので、固定概念にとらわれない自由なカリキュラムが選択することができます。
【プロジェクト学習】
レッジョエミリア教育の大きな特徴でもあるプロジェクト学習は、他者の考え方・受け止め方を学び、協調性や自律性を育む目的があります。
レッジョエミリアでは、子どもたちが4~5人程度のグループに分かれ、それぞれ1つのテーマを掘り下げるプロジェクト学習を行っています。
1つのテーマを子ども同士で満足行くまで話し合うことで、自律性や協調性の成長が期待できるのです。
また園児や保育士とだけでなく、保護者や地域の大人も話し合いに参加してもらえば、さまざまな立場で議論を重ねる経験ができます。
レッジョエミリアを実践するのに必要なもの
レッジョエミリアを取り入れる際に必要なもの、必要な環境は大きく3つです。
【プロジェクト】
レッジョエミリアのプロジェクト学習は、数人の子どもたちで構成されたグループが、学習したいテーマや活動方針を決める学習方法です。
学習を遂行させるためにグループ内で進捗を共有し、他者と意見交換することで子どもの発想力も高められます。
子どものテーマにあった道具や環境の提供の他に、地域住民の協力があると学習の幅が広げられるでしょう。
【ドキュメンテーション】
レッジョエミリアでは、子どもが持つ可能性をより多様性に富んだものにするため、子どもたちの活動を細かく記録します。
活動の記録は誰でも見られる場所に掲示し、子どもが自分たちの活動を振り返るきっかけを与えるのが目的です。
保育者がアドバイスする際も、紙やムービーなど形に残してあげると次の学習に生かしていくことができます。
また保護者や保育士も紙やムービーを通して学習記録を確認すれば、子どもの成長をより一層、感じられるでしょう。
【教育環境】
レッジョエミリアを取り入れている場合、美術専門スタッフの「アトリエリスタ」、教育学専門家の「ペダゴジスタ」を配置します。
専門家は子どもの活動をサポートし、保育者との連携やドキュメンテーションの作成を行うなど、活動に欠かせない存在です。
保育者以外にも見守ってくれるスタッフがいるため、子どもたちも安心して活動でき、専門家と話すことで社会性も学べるでしょう。
レッジョエミリアを簡易的に行うことはできるの?
グループでの活動など、多くの人と関わる学習プログラムが多いレッジョエミリアですが、簡易的に行うこともできます。
それではレッジョエミリアを意識した教育を行うコツについて、ご紹介します。
【まずは主体性を重視する】
難しいことは考えずに、主体性を重視して教育を行うよう意識してみましょう。
レッジョエミリア教育の目的が「子どもの主体性を伸ばす」にあるので、まず子どもの興味・関心があるものを探してみてください。
例えば休日の過ごし方も、どう過ごすか子どもに意見を聞くだけでも、立派なレッジョエミリア教育と言えるでしょう。
また子ども自身が学びたいものを見つけられるように、保育者がさまざまな選択肢を提示するのも大切です。
主体性が身につけば、学びたいものを自分で探せるようになるので、探究心も養われるでしょう。
【子どもの言動を記録してみる】
簡易的なレッジョエミリアであっても、後から見返せるようドキュメンテーションの作成は行っておきましょう。
子どもや保護者が後から見て、どんなことが楽しかったか、この活動の目的は何なのかがわかる内容がベストです。
おすすめは写真や動画で、スマホを使用すれば子どもでも簡単に記録ができます。
普段作成するような思い出としての記録ではなく、あくまでも活動の記録として作成するようにしましょう。
子どもの可能性を広げるレッジョエミリアを実践してみよう
レッジョエミリアは社会性を育みながら、子どもの自立性や協調性が養われる効果的な教育方法です。
子どもを主体として教育が進むため、どの現場でも同じ教育、テーマはありません。
大人になってから必要となるヒューマンスキルが身につく教育法なので、ぜひ簡易的なものから取り入れてみてください。
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