邦画ブラボー

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新藤兼人の「縮図」

2005年11月08日 | ★人生色々な映画
【拷問のような泣かせどころ満載】

無駄が無いスピード感ある展開で、
芸者に売られた貧しい靴屋の娘の半生を描く。

乙羽信子は
この映画でブルーリボン賞主演女優賞を獲得。

宝塚出身である乙羽の
はじけるようなリズム感、踊りよし、歌よし、
くるくる変わる表情の見事さに舌を巻いた。

冒頭のお座敷遊びの凄まじさで、すでに気圧される。
酔っ払いの客が、よ~く見たら芦田伸介。
若い頃はいわゆるしぶ~いあの芦田伸介ではなかったことを知った。

女同士の喧嘩はびっくりするほどの迫力。

無口な父親に宇野重吉、母親に北林谷栄、
他に山内明、山村聡、細川ちか子、沢村貞子、沼田曜一 など豪華な配役。
芸者置屋の女将、山田五十鈴の上手さも堪能出来る。

人身売買が行われていた時代をテーマに据えた、
悲哀に満ちたストーリーには、
まるで拷問のように「これでもか!」という
強力な泣かせどころがあるので
いくつかの難所をティッシュ無しで通れる豪のものは少ないのではないか。
と、思えば
ひっくり返って笑ってしまう場面もあったりして翻弄される。

物のように扱われ、踏みつけられても
そんな世間で生きていかざるを得ない女の悲しさが
徹底的に描かれている。

宇野重吉は黙って座っているだけでも千両の値うちあり。

1953年 新藤兼人監督作品 原作 徳田秋声 
脚本 新藤兼人 美術 丸茂孝 音楽 伊福部昭

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