邦画ブラボー

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「Tomorrow 明日」

2006年08月08日 | ★人生色々な映画
みんな
明日を願って
明日を夢見て
明日になったら・・と思い・・

でもその明日に起こることは・・・

先ごろ亡くなられた黒木和雄監督の作品。
長崎に原爆が落とされた前日から次の朝までを描く。
61年前の今日から明日だ。

庶民のごくごく当たり前の日常が
淡々としみじみと描かれていく。いたたまれない映画

桃井かおり演じる妊婦は、母親と産婆に勇気付けられながら
難産の果てに赤ん坊を産み落とす。
真っ青に晴れた朝に赤ん坊に乳を含ませる若い母親は
もちろんその数時間後の運命を知らない。

捕虜のアメリカ兵を見殺しにしたことを苦にする将校(黒田アーサー)は
うさを晴らすために娼婦(伊佐山ひろ子)と一晩を過ごす。
(そんなこと悩んだって、次の日に
自国の捕虜もろともぶっ飛ばすんですからアメリカは~)

皮肉過ぎる。

初夜を迎えた新婚カップル(佐野史郎・南果歩)もいた。

子供たちは蝉が鳴く中、ひなたで無邪気に遊んでいる。

エピソードが静かに進んでいくにつれ、
見ている方は緊張していく。

もおうやめてくれえ~~!!(自分)

空がぴかっと光り不気味な雲がもくもくと現れ、映画は終わる。

愛すべき人々が次々現れる中、唯一
憎たらしい役で荒木道子がちょっとだけ出るが、
その憎たらしさも人間臭く、愛おしいと思える、残酷な話である。

そして時は過ぎ、我々がおかれている現実とは。

戦争体験がある黒木監督ならではの力のある作品だ。

*映画の中のイイおんな*
桃井かおり:煙草を吸わない桃井かおりがいる。
いつもの屈折したキャラではなく、
珍しくまっすぐな(失礼)額の汗をぬぐおうともしない
素直な娘さんの役がこれまた上手いんだなあ~~
出産経験は無いと思うが???????
分娩シーンはすごい迫力である。

黒木和雄監督作品

原作:井上光晴
脚本:黒木和雄 井上正子 竹内銃一郎
撮影:鈴木達夫 音楽:松村禎三
美術: 内藤昭

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