更新遅れましたが映画は見てました・・・・
いやこれは
何度見ても
怖い作品ですわ。
黒沢作品の最高峰であるのみならず
近代最強(恐)のサイコホラーといえると思います。
****ネタバレ注意*****
萩原聖人演じる間宮は、
誰もが密かにかかえる潜在的なストレスや黒い欲望を
関わった相手から
巧みに引き出し、「癒して」いく、「サイコパス」。
うじきつよしが「伝道師」と答えていましたが・・・
別に黒マントにピンクの髪?とかの変わった風体ではなく
無精ひげに平凡な服装、
茫洋としているだけに不気味。
その「癒し」は
「X」の暗示による猟奇的殺人の形で現れます。
ごくごくありきたりの光景の中で「唐突」に行われる
凶行は
ビミョウな均衡の上に成り立っている日常の危うさをも
思い知らされます。
がらんとした病室、殺風景な家、無駄に大きい廃屋。ゆらめくカーテン。
雨水がたまった床と
無機的な背景と音楽がすごいです。
黒沢映画では
「影」を駆使した映像が印象的ですが
部屋の隅から人物がぼ~っと浮き出てくるところとか
役所広司の頭の上に黒い雲みたいな影がたちこめる場面とか
細部が秀逸。フリッツ・ラングの不安な気分を起こさせる映像を思い出しました。
この作品で映画賞を総なめしただけあって
間宮と関わることによって変化・再生?する役所広司が
素晴らしいです。緩急自在というか
抑えた演技からの爆発力がすごい。
生肉を投げつける場面の緊張といったら・・・・
映画の中で間宮が影響を受けたと言われている
実在の人物
ドイツの不思議な精神科医?メスメルを調べてみたら
患者を治療する際
人の気を狂わすといわれた楽器「グラス・ハーモニカ」を用いたり
動物磁気?を使ったり、 不思議なバケツを考案したりと、
とても興味深いがしかし深入りするとまずいことになりそうな人物でした(@_@)
この映画が公開された当時(1997年)は
まだインターネットが普及していない。
今だったらどんなホラーが?とあれこれ想像したら
自らの妄想でまたもや怖くなりました。(2000年の「回路」ではそのテーマ)
スティーブン・キング原作にも
マックス・フォン・シドーが
人の悪意を引き出す作品「ニードフル・シングス」があります。
あの場合ははっきりと、マックス=「渋いイケメン悪魔」でわかりやすかったですが
果たして間宮は?
手を交差させた猿のミイラは、
X(捻じれ)の象徴だろうか???妻はいったい??
ウエイトレスはどうして??? 間宮の背中の火傷はどういう意味?など
謎に包まれた部分が多々あって
それがまた恐怖を呼び起こすのですが
もしもハリウッド映画にリメイクされたなら、
きっと
全てが「クリア!」に説明された理解しやすい内容になると思われます。(爆)
この作品は間宮の存在自体が不気味でオカルト的であり
先を読めない緊迫感、がらんとした空気感が
黒沢ワールドならではのアート的でバッドなムードをかもしだしています。
1997年 黒沢清監督作品
日本映画専門チャンネルにて
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