おお、よく来てくれたな!
「何だよ、夜中にこんな場所に呼び出して」
いや実はな、今夜ここで百物語の集まりがあるって話をネットで見てね。
「また、えらく古風な事やってんな…」
まあな。で、いざ来てみると初めて見る顔ばかりだったけど、とにかく始めたんだ。
「それで?」
なかなか怖い話揃いで楽しかったぜ。語りも上手い奴ばかりだったし。
「ふんふん」
気が付くと順番に99話まで語り終え、次は俺の番ってことになったんだ。
「いよいよ最後か」
ところが、口を開いた瞬間、蝋燭の炎が不意に揺らめいた。
するとその一瞬後、周りにいた連中が、煙のように消えちまったんだよ!
「うわ…」
俺はすっかり震え上がってしまって、逃げようとしたんだけどな。
足が石のように固まってて、立ち上がることもできないんだ。
周りからは妙なうめき声みたいなのも聞こえてくるし、もう駄目かと思った。
「で、俺をメールで呼び出したと?」
助かったよ、とりあえず腕は動かせたからな。来てくれて本当にありがとう。
「そうか…まぁ無事でよかったな。で、もう話は済んだか?」
ん?ああ、それだけだ。お前が来た途端に、足も動くようになったし。
「そりゃ良かった。じゃあさっさとこんな所出ようぜ。
ほら、お前の分も懐中電灯持って来たから、そんな物早く片づけろよ」
ああ、そうしよう。