いつも通りの平凡な一日。
机にはやりかけのゲームに、ほぼ手付かずの何故買ったかも分からない参考書。
夏休みと言っても特にやる事も無く、暇潰しにラジオのボタンを押した。
どこの国の人だろう…翻訳が日本語に直している。
『ー非常に残念な事ですが…』
次の一言で、私の生活が180゜変わった。
『本日、地球は終わります…』
部屋には、ラジオから聴こえる嗚咽が…響いていた…
窓の外では、事実を裏付けるように大きな鳥達が空を埋め尽くし、何処かへと向かっている。
怖くなった私はその体をいなすように、すぐにヘッドフォンをした。
不明なアーティスト項目の、タイトル不明の曲?
こんな曲…いつ入れたんだろう?
停止ボタンを押そうとすると、何故か聴いた事のある声がした。
『生き残りたいでしょ?あの丘へ……突っ走れ!』
一言。たったの一言で…体が跳ね上がった。
交差点に出ると、老人や子供、青年や神父で溢れかえっていた。
怒号やら赤ん坊の泣き声が響く。
ただ一人目指すのは逆方向。
耳元から聴こえる『あと20秒だよ』の声。
「このまま消え去ってしまうなら…もう罪は無いのかな…?」
いや、今は何も考えない。
ただひたすらに突っ走る。
あの丘へと…
息も絶え絶え辿り着いた丘の上。
誰かがいる…
「素晴らしい…素晴らしい実験結果だ!」
素晴らしい?何の事だ?
刹那、ヘッドフォンから聴こえた声は…
「ごめんね…」
紛れもなく…自分の声だった。
白衣の科学者達は、燃え盛る世界を背に…
起きたのは、いつも通りの朝。
平凡な一日が始まる。