しっとう?岩田亜矢那

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意味がわかると怖い話2935 「権利」

2019年11月01日 21時46分01秒 | 意味がわかると怖いコピペ
「被告人を無罪とする」
その判決を聞いた瞬間、被告人の弁護士である俺は、心の中でガッツポーズを決めた。

俺が弁護している男は最低な人間だった。
少女を誘拐し9年もの間監禁したうえ、強姦と暴行を繰り返し、更に大人になった彼女に魅力を感じなくなったとの理由から放置し、餓死させて殺したのだ。
凄惨な事件に世間のバッシングは凄まじかった。
弁護すれば、確実に真っ当な弁護士としての生命は絶たれるであろう事は目に見えている事件だった。
が、そんな事等、俺にとってはどうでもよかった。
資産家の坊っちゃんである被告人の弁護料は法外なものだったからだ。
一族から犯罪者を出したくない一心からだろう。
無罪にすることが出来れば、一生遊んで暮らせる額を提示され、俺は一も二もなく弁護を引き受けた。
俺は正義について、とやかく考えたりはしない。
だって、そうだろう?
正義なんてものは、立ち位置によって変わるものだ。
俺は、俺の依頼人にとって最高の仕事をする。
それが俺の正義だ。
俺は方々に金をばらまき、死刑確実と言われていた男を無罪にした。
世間から人間失格との烙印を押されはしたが、俺は弁護士として、最高の仕事を成し遂げたことに満足した。

それから数ヵ月が経ち、世間の関心がどこそこの芸能人の結婚話で盛り上がるようになった頃、俺は被告人だった男を祝杯のディナーに誘った。
勿論、こんな事が世間に知られれば、またワイドショーにでも取り上げられ、晒されるのは目に見えていたから、男には誰にも言わずに来るよう指示をしておいた。
車中で男の最近の暮らしぶりを聞くと、被害者遺族が精神的な負担を理由に上訴しなかったこともあり、自由気ままに一人暮らしをし、優雅に毎日遊んで暮らしているとの事だった。
男の素晴らしい第二の人生を俺が称賛し終えた頃、目的の山中にある会員制の高級レストランに辿り着いた。
ルネサンス様式の外観に男は大分満足した様子で、ホール係の開けた扉に上機嫌に入って行った。
ホール係の顔もよく見ずに。男に自分が犯した罪を悔いてるなら、気づけたはずの顔…。

その後、男がどうなったか俺は知らない。
俺は男を本当の依頼主に渡しただけ。
俺は、俺の依頼人にとって最高の仕事をする。
それが俺の正義だ。