Sさんの構図 3

たくさん写真を送ってきた中で、良いと思われるものをピックアップしてみます。



これは、野外で廃棄物が積まれている物を取材してくれました。

この場合は、派手な色のものが目立ちます。それが中央にきているので、まとまっています。
メインは、赤い箱でしょう。文字があるのとほぼこちらを向いている点で、他より強いです。
特徴のある物は、黄色い自転車ですが、立ってぶつけられているので、赤い箱より弱いです。

ただ、この場合、赤い物や黄色い物が綺麗過ぎます。廃棄物と一緒なら汚れて古ぼけていてほしい気がします。
新品に見えると味がないのです。周りとの調和を考えても、すこし汚す必要があります。

画面構成としては、なかなかバランスが取れていて良いと思います。
他の写真も１０枚ほどありましたが、派手なものがバラバラだったり、画面の下の方にあったり、画面に対して小さくて貧弱に見えたりという感じでした。縦にしたり、横にしたり、下から見上げてみたり、少し左右に動いたり、同じ構図でもそのようにいろいろ変えて撮影してみることが必要です。一つ物の位置を変えるごとに、それをやっていたら、直ぐに１００枚くらい撮影してしまいますね。
実は、物の位置だけでなく、色のバランスもありますし、太陽が当たったらどうなるか、時間を変えてみたら光の角度が変わるとか、やってみると、嫌というほど、たくさんになるのです。構図を考えるだけでも、それだけあるのですから、絵にする場合の線の置き方、色の付け方などを考えると、無限の組み合せがあるのですね。そう考えると、とんでもない選択肢の中から選び出すことになります。だから、答えはたくさんありますし、ダメな答えも無限にあるのです。
指導者は、その中のより良い答えの範囲に生徒を導くようにアドバイスすることになります。

Sさんの構図 ２

Sさんが送ってくれた写真を使って、構図の研究をしてみましょう。



これを使った場合、問題点は何でしょうか？

私は絵には、主役が必要だと考えます。
一番のポイントになるもの、一番目立つ物、もし仮にこんな姿の宇宙人が現れたら、どこを見て話す？
というもの、それを考えてくださいと話します。
絵には、いろいろな種類があるので、必ずしもそうとは限らない場合もありますが、私は目玉になる部分がないと落ち着きません。

これを絵にした場合、その目玉に当たる部分は何でしょうか？

上の四角い窓が二つあって、それが目玉のように感じませんか？
しかも、上にハの字形の屋根がありますね。だから三角帽子を被った人みたいな印象です。
それが、ポイントでいいんだと言われたら、本人が描きたいのならしかたがないということで、私も引きさがりますが、高くは評価しません。

また、この絵は、ほぼ左右が対象で窓の両脇から下にVの字形ができています。これも特徴的です。
特徴的であることが、良いと思えるならいいのですが、私は組み立て上あまり面白く感じません。

まず、ポイントになるものが魅力的に感じるように設定して、それ以外の物が、そのポイントになるものを引き立てるような構成を考えることをお勧めします。

恋愛不倫

恋愛小説第６巻は、「恋愛不倫」でした。



これで、全巻終わりました。

このタイトルは、恋愛不倫ですが、それまでもほとんどが不倫のような話でした。

興味を引いたのは、このようなショートショートの小説が、バラバラに書かれていて、しかし、段々と繋がりのある話であることに気づいて、謎が出て来て、その謎がいつか書かれるだろうと期待されて、どんどん読まされてしまうという手法。

リドルストーリーと言っていましたが、これは先に興味を持たせるという点で、読む人を離さない方法かなと思います。
夏目漱石を読んでいた時も、その手法が使われていた記憶があります。
「行人」だったかな？何で大阪に来たのか？訳があってきたのに、その訳をなかなか言わないで、ほのめかして謎にしておくというような話があったと思います。それは、直ぐ先まで読めばわかりましたが、この恋愛小説では、結局「奇跡のひと言」が何だかわかりませんでした。しかも、最後の方の話では、奇跡のひと言の意味合いが違っていたように思います。