睡蓮の千夜一夜

馬はモンゴルの誇り、
馬は草原の風の生まれ変わり。
坂口安吾の言葉「生きよ・堕ちよ」を拝す。

メダカと睡蓮(1)

2009-07-25 04:30:13 | 屋外メダカの夏
実家の玄関前に信楽の大きな甕がある。
睡蓮やオモダカやアサザの寄せ植え睡蓮鉢として使っていた。
初夏に睡蓮の葉が日ごと大きなり、水面に鮮やかな緑が映るころ、
「この中に黒メダカを泳がせたい」と思った。

近くの小川で知らない子供たちと一緒にタモを振り回し小魚取りに熱中する。
捕まえた小魚は、メダカ、鮒、ハヤ、ヨシノボリ、モロコ、スジエビなどなど....。 
初夏から秋の初めまで飽きることなくタモを振り回し水たまりを探し続けた。

最初に持ち帰った8匹のメダカは川の水と一緒に信楽の睡蓮鉢に入れた。
よおく見るとメダカのお腹の下に丸くて透明なぷちぷちがついている。
あっ、たまごだ。
翌日の仕事帰りにペットショップに立ち寄り、金魚草2束と流木に活着させた
ウィローモスを買い求めた。メダカの産卵床として欲しかった。

そのひと夏をメダカとともに過ごした。
庭にプラ箱をいくつも並べて段階的にメダカの孵化を見る。
その行程がおもしろくて、休みの日は一日中ケースの前に張りついた。
ほてい草や金魚草やモスに産み付けた直径1ミリくらいの透明な光る真円、
卵の中央の黒点に銀色の縁取りができるころ、透き通っていた卵がだんだん
黄色味を帯びてくる。透明な卵の殻の中で、もう魚の形をした稚魚がぐるりと
1回転する、孵化はもうすぐだ。
拡大鏡を片手に誕生の瞬間を待つ・・・まばたきする時間まで惜しくなる。

月日が流れ、ここ10年のあいだに父・母ともに没した。
主をなくした実家を守るメダカたちと、大小さまざま6つある睡蓮鉢にまつわる
ちいさな物語がここからはじまります。




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