2000/09/08
這えば立て、立てば歩めの親心
赤ちゃんになった父も...歩め。
明日がある
陽は沈みまた昇り
瞼が明かない朝はないはずだ
屋根の上
ヴァイオリンを弾く夢を...
夢みむ。
2000/09/09
名鉄が自宅に介護ベッドを配達してくれた。
梱包を解く日はくるのだろうか。
意識あり、
手が小刻みに震えてた
うんうんと頷く
密度の濃い視線。
2000/09/10
ちりちりと
皮下に死にゆく黒みみず
大根の
茎かじりたや青く立ち
あふれても
地団駄ふんでも無力
2000/09/17
♪兄んさは満州へ行っただよ
鉄砲が涙で光っただ
もずよ寒くも泣くでねえ
兄んさはもっと寒いだぞ
母は父の手をさすりながら唄ってた。
調子っぱずれでハナがつまってる。
さする手も、さすられる手も、
流れに渦巻く枯れ木のようだ。
2000/09/18
蜜柑色の涙みたいな月が
ぽわんと空に浮かんでた。
夏が過ぎて、秋がきて、
秋真っ只中の、お彼岸に
いったいどこへ行こうとしてるのだ。
逃げ水みたいに針をさけるくだ
くずくずともろく、
いたるところ破れみち、
もう挿すところがない。
2000/09/19
赤子が母の乳房を離さぬように
ぎゅっと握った手を離さない
近くの気配を察することもできなくなって
その眼は、五感は、生きているのだろうか
いいや、
手だけがびくびくと生きている
魂がうめいてる
馬車よ、ゆっくり走れ・・・。
2000/09/20
骸骨の上をよそおうて花見かな
(上島鬼貫)
眼窩はこれほど窪むのか
頬骨はこんなに高いのか
顎骨は細く、
こめかみはぺちゃんこだ
鶴のような首すじが鎖骨に埋もれ
盛り上がったアバラからストンと薄い腹
こんこんと眠る。
2000/09/21
あぁぁ、うぅぅ
目尻に涙をためた
誇り高き赤ちゃん。
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