水産北海道ブログ

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サケ・マス流し網禁止に伴う代替漁法 ロシア国内で資源利用をめぐる対立も

2016-03-02 11:29:53 | ニュース

 道機船連によると、ロシアの太平洋サケ・マス流し網禁止に伴い、遡河性魚種の漁獲のため許可される代替漁法リストが極東漁業規則に盛り込まれることになるが、最も現実的な漁法が含まれていないと問題になっている。一方、ロシア上院では自国EEZ内でのサケ・マス漁業(沖獲り)の完全な停止を求める声が出ている。

 サハリンの業界と科学研究機関が合理的な代替漁具としているのが「表層定置網」で、既存の漁船の構造的特徴を生かし、流体力学を利用したアンカーで位置を決め、ブイで網を建てるもの。業界は「唯一、現実的に代替可能な漁法」と主張している。全ロシア海洋漁業研究所(ヴニロ)などの科学研究機関が算出した漁獲効率の比較では、表層カゴの1.5倍、トロール網の83倍、巻き網の215倍の高い漁獲効率が示されている。

 しかし、今年2月に公表された農業省の改正案には、3つの漁法がリストにあがっていたものの、表層定置網が盛り込まれていかなった。さらに、代替漁法によるサケ・マス漁業の再開を懸念するマガダン州選出の上院議員が2018年以降の商業操業の完全な停止を主張している。太平洋のサケ・マス漁業は6月1日から漁期に入るため、サハリン州政府はロシア極東連邦管区大統領全権代表トルトネフ、農業大臣トカチョフに要請行動を計画している。

 こうしたロシア国内での対立が3月下旬に東京で開かれる日ロ政府間の交渉にどのように影響するのか注目を集めている。