水産北海道ブログ

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規制改革推進会議が「海面利用ガイドライン」に注文 水産庁案からの後退で業界が反発

2020-05-03 12:16:05 | 今月のフォーカス

 今年12月14日までに施行される改正漁業法(2018年12月成立)の肝と言える「海面利用ガイドライン」を水産庁は、4月11日までパブコメで意見を募集した。それに対し、首相直属の諮問機関である規制改革推進会議が4月9日に書面で「提言」を決定。全国の漁協系統、業界関係者とコンセンサスを得ていたガイドラインの内容にちゃぶ台返しを見舞った。この結果、水産庁はガイドラインの書き直しを全面的に受け入れ「丸呑み」する形で、修正を行う方針だという。

 この動きには、この間、多数の説明会で水産庁幹部による改正漁業法の施行に関する説明を聞き、一定のコンセンサスをつくってきた現場の関係者が強い危機感をもっている。ここで信頼関係が崩れると、今後の施行に向けた説明会では再び混乱が生じ、水産庁が意図する「資源管理と成長産業化を両立する改革」が機能するのか、大きな疑問が持たれる。

 そもそも政省令や告示などと異なり、ガイドラインに関してはパブコメをする予定がなかった水産庁が実施に踏み切ったのは、規制改革推進会議の農林水産WGの一部委員からの強い要請があったためで、改正漁業法の精神を現場の隅々に浸透させるには、ガイドラインを「国民」に開示し、内容を吟味しなければならないという強い改革の意志が働いた。

 つまり、沿岸の漁協管理漁業権を抑制し、企業による養殖参入を促し、漁船漁業における零細経営の淘汰と企業的経営の強化を図るとの狙いを実現することが求められた。免許更新や競願については生産性の高い経営を優先し、漁場の「適正かつ有効な活用」の判断に「稼ぎ」の尺度を入れて整理するという論理である。

 全体として漁協の漁場管理、例えば特定区画漁業権の廃止と「団体漁業権」の設定に関してなるべくその関与を抑制するのが改正漁業法の狙いで、その意味での規制緩和を貫徹するのが法律の施行面で担保する。こうした現状の漁場利用秩序の破壊は、「解釈」の違いを超えて法制度として完成されつつあるというのが現状の認識であり、現場で声をあげ、反対するしかこの流れは止められないし、その方向で漁協系統は結束すべきと考える。