本道に来遊する秋サケの沿岸漁獲は12月に入り、えりも以西の胆振、噴火湾、道南地区を除き終漁した。全道の漁獲尾数は前年並みの不漁となったが、金額は350億円を達成した。
道連合海区漁業調整委員会の漁獲速報（12月10日現在）によると、全道の秋サケ水揚げは1,571万6,668尾で前年同期に比べ3.3％増。11月30日からの上積みは約1万6千尾で、えりも以西の道南（9,264尾）、噴火湾（5,003尾）、胆振地区（1,427尾）による漁獲だった。金額は350億982万円で同21.9％増と前年同期を約62億9千万円上回った。
道機船連によると、プーチンロシア大統領は、ＰＳＭＡ（違法・無報告・無規制（ＩＵＵ）漁業の防止、抑制、廃絶のたえＭの寄港国措置協定）批准のための法令に署名した。
この法案はシェスタコフ農業副大臣（漁業庁長官）が提出したもので、上院、下院を通過していた。国連食糧農業機関（ＦＡＯ）によって2009年に採択され、2016年5月に発効した。これまでに日本を含む72カ国が加盟している。違法漁業の取締に関して漁船が上陸する寄港地国の責任を強化し、流通を防止するのが主な内容。これまでは船舶管理の法的責任は「旗国」と呼ばれる船舶登録国に限定されていたが、寄港国にも責任を持つことを求めている。寄港国は、入港を希望する船舶に対し、水棲私物漁獲の記録や水産物情報を入港許可を出す前に提出することを義務づけている。寄港国はＩＵＵの疑いのある漁船に対し臨検することもできる。ＩＵＵが発覚した漁船は入国を拒否することができ、その事実を旗国に通知しなければならない。入港を拒否せず、ＩＵＵ漁業に対する取り調べもできる。入港拒否された漁船の情報は加盟国で共有し、ＩＵＵ漁業の抑止を連携して進める。
道機船連によると、全ロシア海洋漁業研究所ヴニロは、オホーツク海春季抱卵スケソウ操業Ａシーズンの予測（オホーツク海スケソウ2021）を発表した。
北部海域38万1600㌧、西カムチャッカ海域38万1,600㌧、カムチャッカ・クリール海域29万6,900㌧、日本ＥＥＺとまたがり資源と評価される東サハリン海域12万6,100㌧の計118万6,200㌧のＴＡＣが設定され、この操業でこのうち85〜90％を消化できると見込まれる。残枠は無法卵操業Ｂシーズンの対象となる。同研究所の予測によると、2021年のオホーツク海の氷の範囲は50〜55％で、2004〜2020年より5〜10％広くなる。2020年11月末時点で13万7,000㌧のスケソウが未消化で、近年では多く、船団の一部がニシンやイワシ漁業などに移行していることが要因の一つとみられる。
道機船連によると、ロシアのパトルシェフ農業大臣は太平洋サケマス操業の合同部門会議を開催し、目標プログラム「太平洋サケマス2021」を採択した。このプログラムはシェスタコフ農業副大臣（漁業庁長官）が発表した。
ロシア科学研究機関は、2020年漁期38万㌧の太平洋サケマスの来遊を予測していたが、実績は30万程度にとどまった。予測通りだったのはギンザケのみで、シロザケは大きく下回った。漁場別では西カムチャッカ、ハバロフスク州オホーツク海、東サハリンの各沿岸のみが予想通り、あるいは上回った。
一方、科学研究機関は過去からの十分に証明された数学モデルを使用して予測しており、これらの問題の要因として北太平洋の生態系の深刻な変化、気候変動の影響などを指摘し、今後は来遊予測への取り組みに変化を与える必要があると説明した。目標プログラム「太平洋サケマス2021」では、5年間休止していたベーリング海の調査研究を復活させ、クリール諸島沖のサケマスの行動を説明するための新しい要素を導入する。また、これらの調査研究で正確に得られた情報により、太平洋サケマス漁業に関する地域戦略、漁業組織のための科学に基づいた勧告を迅速に作成し、漁業の制限導入に資する。シロザケの来遊が増加した日本海での調査、南北クリール、チュコトカ沿岸での科学調査を強化する。
