政府が福島第一原発事故で発生したALPS処理水の海洋放出を決め、東電が2023年頃から実施する計画に伴い、経済産業省は令和3年度補正予算で「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策」に300億円を計上し、水産物の販路開拓や、いわゆる風評被害に対する緊急避難措置として冷凍可能な水産物の一時買取り・保管などを支援する。
補正予算のPRペーパーによると、処理水の海洋放出に伴い、万一水産物の需要減少等の風評影響が生じた場合でも緊急避難的措置として水産物の販路拡大や、冷凍可能な水産物の一時的買取り・保管等を支援する。また、漁業者の風評への懸念を払拭するため、ALPS処理水の安全性等に関する理解醸成を実施し、風評影響を最大限抑制すべく取り組む。風評影響を抑制しつつ、仮に風評影響が生じた場合にも、水産物の需要減少への対応を機動的・効率的に実施することにより、漁業者が安心して漁業を続けていくことができるよう、基金を造成し、全国的に弾力的な執行を行うとしている。
こうした事業を通じて海洋放出に伴う風評影響を最大限抑制し、万一風評が生じた場合でも漁業者が安心して事業を継続できる仕組みの構築をめざす。
(1)水産物の販路拡大等の取組への支援では、企業の食堂等への水産物の提供するほか、水産物のネット販売等、販路拡大・開拓を支援する。
(2)冷凍可能な水産物の一時的買取り・保管への支援では、買取り・冷凍保管等に必要な資金の借入金利を支援し、冷凍保管等にかかる経費を支援する。
(3)福島第一原発のALPS処理水に関する広報事業では、消費者に向けた多様な媒体・方法による広報活動や、公正な取引が行われるよう流通事業者等に対する説明会等を実施する。
ALPS処理水の海洋放出については、全漁連、地元の福島県漁連をはじめ、道漁連を含めた全国の漁協系統が反対している。