第4回RCEP首脳会議が15日、テレビ会議形式で行われ、「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」に参加する15カ国が署名した。
農林水産省によると、米など日本の重要品目は関税削減・撤廃からすべて除外され、農林水産物の関税撤廃率はTPP、日EU・EPA(各82%)より大幅に低い水準に抑えられたという。対ASEAN・豪州・NZは61%、初のEPAとなる中国は56%、韓国は49%。
各国の関税は、14億人の人口を抱える巨大市場の中国からは、ホタテ貝(11年後もしくは21年後に関税ゼロ)などの輸出関心品目の関税撤廃を獲得した。ルール分野では、税関手続きや衛生植物検疫(SPS)措置、知的財産権などについて農林水産物・食品の輸出促進に資する環境を整備した。
水産物については、対中国では生産者団体が加工・業務用で国産品の巻き返しを図りたいとする多くの品目(うなぎ調製品、海藻類など)を関税削減・撤廃から除外し、国産品だけで国内需要を賄うことが難しいものや国産品と棲み分けができているもの(アサリ調製品など)は長期の撤廃期間を確保した。対韓国では対中国以上の品目を関税削減・撤廃から除外し、対ASEAN・豪州・NZではTPP、日EU・EPAよりも大幅に低く、既結EPAの範囲内の水準に抑えた。
関税撤廃を獲得した主な輸出関心品目は、中国向けホタテ貝(10%)、サケ(5%、7%、10%)、スケソウ(5%、7%)がいずれも11年目または21年目に、ブリ(7%)も11年目または16年目に撤廃される。
税関手続き・貿易円滑化のため、迅速通関(可能な限り貨物の到着後かつ必要な税関書類の提出後48時間以内の引取りを許可)及び急送貨物(通常の状況において、貨物の到着後かつ必要な税関書類の提出後6時間以内に引取りを許可)を規定した。
農林水産省はRCEP合意を受けて「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂し、2030年に農林水産物・食品の輸出を5兆円にする目標に向け最大限に協定を活用していく方針。20日の農林水産物・食品輸出拡大の関係閣僚会議で輸出拡大実行戦略の骨子案が示され、次回会合で具体的な実行戦略を策定することになっている。
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