水産庁はこのほど自民党の合同会議で令和4年度水産関係予算の重点事項を説明した。「新たな資源管理システムの着実な実行」、「不漁の長期化や環境変化の中での成長産業化に向けた重点的な支援」、「競争力のある加工・流通構造の確立と水産物の需要喚起」、「水産基盤の整備、漁港機能の再編・集約化と強靱化の推進」、「外国漁船対策、多面的機能の発揮、捕鯨対策」の5項目に重点を置き、不漁問題等に対応した持続的な水産業の推進を図る。
農林水産省は、2021年上半期の農林水産物・食品輸出額が5,733億円(前年同期比31.6%増)と過去最高に達したと発表した。昨年はコロナ禍で停滞していた中国向けホタテなどが大きく伸び、水産物も1,371億円と33%増加した。
水産物の主な品目では、ホタテ貝が230億7,900万円と74.5%増。次いでサバが150億8,700万円と13.1%増、ブリが120億1,700万円で59.8%増だった。水産調整品でもホタテ貝は30億9,500万円で100.3%増、貝柱調整品が29億9,500万円と60.7%増などホタテ関連が大きく回復した。ナマコは70億5,800万円で15.3%の減少となった。
国・地域別では、ナマコ、真珠などを中心とした香港が314億円でトップ。次いでホタテ貝を中心とした中国が233億円、ブリを中心とした米国が176億円、カツオ・マグロ類を中心としたタイが111億円となっている。
水産林務部は、部長名で根室海区、えりも以東海区の関係漁協組合長宛に文書を7月30日送付し、令和3年度「さけ再生産用親魚の確保」のために必要な措置を取るよう依頼した。
今シーズンの秋サケ来遊は平成以降最低が予想され、根室、えりも以東両海区では「さけ・ます人工ふ化放流計画」に必要とされる再生産用親魚が前・中・後期すべてで不足することが予測される。そのため、道は操業始期からの自主規制など親魚確保に必要な措置を関係機関と連携の上、検討してもらうよう漁協組合長に定置部会、漁業者への適切な指導を依頼した。また、漁期中においても機動的に対応できるよう関係機関とあらかじめ協議するなど、捕獲採卵業務の適切な実施の指導を依頼した。
太平洋広域漁業調整委員会(関いずみ会長)が7月29日、ウェブ会議形式で開かれ、太平洋クロマグロの遊漁に対し、大型魚の採捕を制限する追加的な委員会指示を決定した。太平洋クロマグロにはすでに6月1日から遊漁による30㎏未満の小型魚の採捕禁止、30㎏以上の大型魚を採捕した場合に水産庁への報告が義務化されている。今回の措置は、クロマグロTACの枠組みに支障を来す恐れが出た場合、委員会会長が期間を設けて採捕を禁止する措置を公示できる。その目安は遊漁の採捕が20㌧を超える程度とされる。
水産庁によると、6月1日以降、日本海を中心にクロマグロを対象とした遊漁が最盛期を迎え、当初想定していた水準を大幅に上回る数量となり、漁業者を含めたクロマグロの資源管理の枠組みに支障を来す恐れが出てきた。このため6月17日、水産庁が日本海・九州西海区においてクロマグロを目的とした遊漁を控えるよう都道府県や遊漁団体に指導を要請したが、歯止めが効かなかった。6月1日〜16日の採捕量10.8㌧、6月末時点の採捕量は14.7㌧と増え続け、新たな追加措置が必要と判断した。
委員会指示第40号の概要は、委員会会長は遊漁者によるクロマグロ(大型魚)の採捕がTAC制度に基づく資源管理の枠組みに支障を来す恐れがあると認めた時、期間を定め、遊漁者による採捕を禁止する旨、公示する。この指示の有効期間は、小型魚の採捕禁止と同様の令和4年5月31日まで。違反した者への対応方針は別途定める。
新型コロナウイルスの新規感染者が全国で1万人を超える中で、政府は7月30日、緊急事態宣言に大阪など4府県を追加発令し、北海道など5道府県に「まん延防止等重点措置」の適用を決めた。これを受け、道は31日対策本部会議を開き、1日200人以上の新規感染者とデルタ株の置き換わりによる感染拡大が激しい札幌市を措置区域とし、2日〜31日まで不要不急の外出、他地域との往来を控えるなど特措法に基づく強い措置を講ずることを決めた。また、飲食店は営業時間を午後8時までとし、酒類の提供(持ち込み含む)を行わない。また、店内での感染防止対策を徹底し、カラオケ設備の利用も行わないよう要請する。要請に応じた事業者には、1店舗当たり中小企業で1日3〜10万円、大企業で最大同20万円の協力金を支払う。
鈴木直道知事は「札幌市の感染者は緊急事態宣言を超える水準が続いており、過去最大の波になる可能性がある」と述べ、札幌で開かれるオリンピック競歩・マラソン競技の家庭内観戦を呼びかけた。