こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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またまたターミナルの介護申請について

2013-06-20 23:19:46 | 訪問看護、緩和ケア
ずいぶん前にも触れたことがありますが、ターミナルの患者さんの認定について、いつも首をかしげてしまいます。

介護保険は病気で判断するのではないので、例えば脳梗塞の後遺症で麻痺があって、そのために生活に支障があれば介護度としてついてくるわけです。
こういう場合、重篤な疾患は現在は全くなくても何ら関係はありません。

認知症があっても、とりあえずADLが自立していて、介護の時間を取られるような周辺症状がなければそれも介護度にはあまり反映されません。

要は、人の手をかけて介護する上で、介護にかかる時間を計算して、ロジックに従い1次判定をするわけです。

そうは言っても、実際は見えないところで介護の手はすごくかかったりして、判定にそれが全然反映されないこともあるため、認定審査会では特記事項や医師の意見書と照らし合わせ2次判定を出すわけです。

だから、特記事項として、現実困っていることをしっかり記述してあると、そこで1段階ぐらいはアップダウンすることになります。

でも、これもある程度イメージした時に機能的な問題があることが前提になりますから、認定調査時のADLがなんとか自立していれば、介護度は低く設定されます。
あくまでも、機能と認知力が判定基準だから致し方ないのですが・・。

とはいえ、ターミナルの患者さんの申請をするときには、いつもながらそわそわしてしまうのです。
特に2号被保険者(市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の者であって、各健康保険等に加入している者)のかたは、まだ若いので認知力は問題ありませんし、自律も強いためにどんなに辛くても、這ってでもトイレに行きますし、ギリギリまでシャワー浴などもこだわります。
どう考えても、どこにそんな体力と気力が残っているのだろうと思うくらい、排泄や清潔に関しては、ギリギリまで委ねられなかったりもします。
自分に置き換えれば、当然ついこの間までみんなと同じように日常生活を送れて、トイレも食事も入浴も更衣も出来ていたわけですから、急に下の世話になったり、裸を晒すようなことをしたくないのは当たり前です。

家族に抱えられて、亡くなる朝までトイレに通っていたかたはたくさんいらっしゃいます。

機能的に障害があるわけではないので、関節の拘縮などもないですし、足が動かないわけでもないわけですから、そこはまったく関係なく判定されます。
それに、調査時は比較的元気でも、その進行の度合いから審査会にかけられる1ヶ月後くらいには、既にベットから起きられない状態の時もままあります。
それどころか、調査の翌日には亡くなっていることさえあるのです。

それじゃあ何のために2号被保険者にがん末期を入れたのかわからないじゃないの??と思うことしばし。

だって、「機能は問題ないから、病名では取れないから、調査からひと月以上経っているけど、要支援ね。」っていう話で、必要なサービスを使えないのなら、残り僅かな時間のために介護申請する理由がわかりませんよね。

国の言いたいことはわかるけど、現実問題がん末期の申請を許可するのなら、その特殊性を考慮できる何かが欲しいなと思います。
こうなうると認定審査会の委員の考え方で、かなり最終の判定が変わってくるような気がするのです。

一番必要なのは、きちんと問題を明確にして、予後予測や早期に起こりえる病状の悪化、それに伴う介護力の必要性まで書かれた意見書です。
次に、申請書類にきちんと使ってるサービスや、必要とするサービスを記入し、調査員には、困っている事実をきちんと伝え、特記事項にわかりやすく記入することでしょうか。
もし、家族関係や在宅療養上に問題があれば、申請時に行政の担当者に相談をしておくことも必要だと思います。
この手間を惜しむと、全く誰の注意も惹かず1次判定結果のままに終わってしまうことがあります。

不要な申請は避けるべきですし、介護度が上がればいいってもんじゃないけれど、独居で終末期で強い在宅希望なんかがあると、前倒しでサービスをどんどん入れなきゃならないこともあるので、医師にも声をかけ、周囲にも声を上げて周到な申請が結果につながります。

うちは居宅介護事業所でもありますが、支援のプランは立てられません。
病院から「この人は絶対に介護度が付きますから、ケアマネごとお願いします。」と言われて、さんざん動いて「2ヶ月後に要支援でした。」なんてことも経験していますので、とても慎重になります。

ケアマネさんによっては「申請中ですから、怖くてサービスをあまり使えません。最低限度で入れますね。」なんて言っているうちに、サービスを使いこなせず亡くなられてしまうこともありますから、それも避けたいものですね。

そんな攻防を繰り返しつつ、訪問看護ステーションの介護申請は行われているのです。

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