『ドロメ【女子篇】【男子篇】』を観てきた。
1つの時間軸を、2つの目線から描く。
二作品に分かれているけれど、完全に同じ時間を描く。
男子校の生徒数減から、男子校と女子校が、合同し共学になることになった。
その一足先に双方の演劇部が合同で合宿をすることになる。
そこで様々な心霊現象が起こり始める…。
舞台挨拶+サイン会付で色々と裏話が聞けて楽しかった。
あんこが使われていたり、監督がパンを口に詰め込んで声を吹き込んでみたり、Jホラーはコスパの高いキャラが多いという事。つまりはこの映画は低予算で作られたという事だ。
そして、この映画のコアである地蔵に、モデルがあるという事。
ジャンルとしては、青春群像ホラーミステリーコメディーやな、これは。
監督のやりたいことを一杯詰めてみました、という感じがする。
青春群像としては一級!ホラーとしても一級!ミステリーとしては、まぁまぁ。コメディーとしては一級!
女子編は、ジョシジョシとしており、かつ女子独特の腹黒さ、計算高さが上手く描かれている。
女の子は12歳を過ぎたら、もう女。という言葉を聞いたことがあるけれど、多分そうなんだろうな。同年齢の男よりも常に一歩先を見るのが女なのだ。
主人公でメンヘラ女役の森川葵が物凄く可愛い。現実とそこからの逃避というちょうどギリギリにいる、本当にギリギリのところにいる。そんな感じが伝わる。
主人公の親友役の三浦透子の演技が上手いと思った。親友で保護者で、でもちょっとしたことで拗ねてしまう子供っぽさを持った役柄を本当に上手く演じている。
男子編は、バカ、だな。バカばっかりだ!
でも、世の男子高校生ってあんなモンよな。女子の着替えの様子を覗きにいこうとするけれど、寸でのところで出来ない。罪悪感とかコーショーなものではなく、子供だから怖い、と言ったところ。
だから、それを本当に実行してしまう、先輩でニートの男は、ネジが一本抜けてるのだ。悪いヤツじゃないけれど、頭がおかしい。そりゃ霊も、スマホ壊すわ。
男子はバカだけど、ここぞというときには割りと決める。女は強いからこそ、男は最後に女を守りたいと思うもんなんやろう。
触らぬ神に祟りなし:物事に関係しなければ、禍を招くことは無いの意(広辞苑より)
出典元は、尾張いろはかるた、らしい。
面白い言葉だと思う。この言葉は神よりも怖いのは人である、という意味に聞こえる。
冗談みたいだけれど、まぁその通りなんだからしょうがない。
仮に、怖いのが神だとしても触れるのは人なんだし。
ドロメは人の悪意が具現化してしまった神。ケガレと言った方が良いのかな?
感染するという性質はケガレの特徴だと思うし。
でも、ちゃんと形を保ってるし神の一種なんやろうな。
他にも2人の霊が登場するけれど、これは人の魂。
もう、1人は怨みが、もう1人は嫉妬が原動力となっている霊。感染はしないが、意思があって動いている分、強い。
よくよく考えれば、ドロメ自体は何も悪くないのだ。
ドロメに触れて、ゾンビ化したから倒せ!というのはドロメからみれば、「いやいや!お前らが勝手に触ってきたんやし!」というところだろう。
ラストシーンでドロメが袋叩きにされるシーンは、おもしろいけど、かわいそうで…。
だからこそ、ラストシーンであんなことになるのだ、女子編では。
男女が力を併せて戦ったからこそ、ラストシーンであんなことになるのだ、男子編では。
さあ、戦いのゴングがなったぞ!
彼らの戦いはこれからだ!!