はるかなる甲子園~もう一つの高校野球物語~を読み終えて・・・まえがき
一気に読んだ。
その時が蘇り、言葉に吸い込まれ久しぶりに集中して無になり没頭できた時間だった。
2016年 日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズ 栗山監督さんが、
高校野球熱闘甲子園ナビゲーターとしてご活躍されておられた2010年に発刊された著者。
栗山監督さんの著書は数々あり、読んでみたいと思うものはたくさんある中で、
「2010年」「甲子園」というキーワードにこの一冊を選びました。
自分の中にもこの春や夏、高校球児の姿が深く残っている。
この瞬間があったから、更に高校野球というものの魅力を感じることとなった2010年。
高校野球の記憶、高校野球の素晴らしさが更に奥深いものとなり心に残る一冊に出会えたこと、
この本を書いて下さった栗山監督さんに感謝の気持ちいっぱいです。
第1部では、自分自身も記憶に深い2010年夏の甲子園出場校の監督さんと選手の物語が綴られている。
2010年と言えば、島袋投手を擁し我如古主将率いる沖縄興南高校が
春夏連覇を成し遂げたことは記憶に深く残る甲子園であった。
その興南高校野球部 我喜屋監督さんの言葉は、高校野球や球児だけに留まらず、
それを越え人生に於いて大切なことを教えて戴くことができる。
以前、我喜屋監督さんの著書 ~逆境を生き抜く力~ 沖縄興南高校 我喜屋 優 監督 を読んだことがあり、
その中でも考え深い我喜屋監督さんの言葉に、子育てをする上でヒントとをたくさんもらい
思春期に居た息子たちと前から向き合うことができた。
この著書の中の我喜屋監督さんの言葉にも、私自身がまた勉強になる言葉がたくさん詰まっていて、
選手たちも、今の自分を見つめ直すきっかけとなるだろうと思う言葉が綴られている。
まえがきに、
甲子園とは、選手たちへ与える見えない力がある。
甲子園だけではなく野球をする中で起こる一つひとつを、
偶然と捉えるのか、意味を持つこととして受け止め活かすのか‥‥
正に人生と同じことだろう‥‥とある。
人生に於いても同じことが言えるということだ。
そしてその瞬間がくるまでに、どれだけ最高の準備ができるか。
高校球児にとっての甲子園とは、これからの人生においてメッセージを送ってくれているものという言葉がある。
この言葉からも、高校野球は人間形成の場、人生教育のひとつだということが読み取れる。
野球を通して指導という形で、選手たちに日々グラウンドの中で
メッセージを贈り続けられておられる監督さん方の想いを知ることができ、
高校球児のみなさんには、自分もこんな気持ちで野球に向かってみようと
きっと明日からの野球へ向かう気持ちが今以上に向上するだろうと思う一冊なので
機会があればぜひ読んで欲しいなぁと思います。
この著者に登場される監督さんの野球や生活指導の中に、
「準備」
ということが共通して出てくる。
そう言えば先週末、試合後に報徳学園の指導者の方が、
最高の準備という言葉を用いて選手たちにご指導をされていた姿が重なった。
どれだけ最高の準備をして、その時に挑めるか・・・
その時が成功しても失敗したとしても、そこまでどれだけ最高の準備を自分自身ができたか。
高校野球は人生教育と置き換えると、最も大切な部分ではないかと思う。
高校野球は人間教育の場と言われるが、選手にとってもうひとつの家庭があり、
野球を通して監督さん=もうひとりのお父さん、選手たち=息子たち
勝ち負け以上の大切なものを得ることができる、正に家庭教育の中に居るように思う。
高校野球という家庭の中で、私たちには見えない親子の信頼関係があるからこそ、
子供たちはあんなに真っ直ぐに進んでいけるのだろう。
高校野球とは、社会に旅立つ最高の準備ができる、する場所である。
その準備をする場で、多感な年頃の大勢の選手たちと向き合い、
日々、大切なことを伝え続けられている高校野球の監督さんは本当凄い。
野球、子供を心から愛しているからこそできる、興南の春夏連覇に添えられた「偉業」という言葉が似合う。
そして、選手も監督さんも、辛いことがあっても、挫けそうになっても前へ進めるのは、
やはり、高校野球にはその先にある「甲子園」という大きな目標があるからだろう。
改めて甲子園というものが偉大な力を生み出してくれる場所だということを感じる。
その場所を目指す父と息子たち、その場所に辿り着いた父と息子たちの深い絆と愛情、想いを感じる言葉が詰まっていた。
甲子園・・・勝ち負け・・・成功に挫折・・・と、野球の中にたくさんのキーワードがあるが、
今、高校野球の中に居る選手たち、野球道を歩まれた選手の方々、そして監督さん
全てに共通するのは‥‥
やはり 「野球が大好き」だということに尽きると、この著書を読み終えて思った一言です。
第一部 熱血甲子園2010
其の一 興南高校 我喜屋優監督が目指す「選手の育て方」
其の二 興南高校 春夏連覇 間一髪の野球と周到な準備
其の三 2010年決勝 投げ合った二人のエース
其の四 元プロ選手 阿井英二郎監督が追いかける夢
其の五 同級生 早実 和泉実監督 野球脳を鍛える
其の六 本当に大切なものを求めて 山形中央高校 心の野球
其の七 名将去る 福井商 北野尚文監督最後の夏
第二部 それぞれの夏
其の一 怪物伝説 作新学院 江川卓
其の二 悲鳴を上げていた右肘 沖縄水産 大野倫
其の三 甲子園で学んだこと 浜田高校 和田毅
其の四 津軽海峡を越えた大旗 駒大苫小牧
其の五 遥かなる聖地甲子園 日本文理 伊藤直輝vs中京大中京 堂林翔太
其の六 背負えなかったエースナンバー 横浜 松井光介
其の七 栄光と挫折の狭間で 平安高校 川口知哉
其の八 アルプスで誓ったエースの誇り PL学園 前田健太
其の九 「お待たせいたしました」 ウグイス嬢 石塚くみ子
あとがきにかえて
その時その場所に自分も居たあの日もあり、読み進めるにつれ懐かしいと思う気持ちと、
その裏にも知り得なかった深いものがあったことを6年が過ぎ知ることができた。
監督さん方の深い言葉や、選手たちの想いに感動しながら一気に読み進める中で、
文章が涙で見えなくなる場面も幾度とあった。
一気に読みすぎて、もう一度ゆっくりひとつづつ読み返し、残していきたいなと思う。
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