隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第223作品目は、『ラヴソング』をお送りします。
『ラヴソング』(原題:甜蜜蜜、英題:Comrades, Almost A Love Story)は、1996年11月公開の香港映画。(日本公開:1998年2月)。
製作会社:香港・嘉禾娯楽事業有限公司(ゴールデン・ハーベスト)、ほか。オリジナル言語:広東語。上映時間:118分。
「隊長のブログ」では、香港映画を、これで13作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧をご参照下さい 。
監督・製作は、香港出身のピーター・チャン(陳 可辛)。
ピーター・チャンの監督・製作 映画を、これまで五作品を取り上げています。詳細は、こちらをご覧下さい 。
脚本:アイヴィ・ホー(岸 西)。
主演は、レオン・ライ(黎 明)と、マギー・チャン(張 曼玉)。
レオン・ライ出演映画は、1996年公開 『天使の涙』 を、紹介しています。
共演者:エリック・ツァン(曾 志偉)、クリストファー・ドイル(Christopher Doyle)、クリスティ・ヨン(楊 恭如)、ほか。
クリストファー・ドイルの映画作品は、これで五本を取り上げたことになります。詳細は、こちらです 。
あらすじ:物語の始まりは、1986年3月1日の香港・九龍駅。中国大陸の天津から列車・電車を乗り継ぎ、香港にやってきた黎小军《シウクワン》(レオン・ライ)は、長旅の疲れから座席で眠ったままです。やっと気が付き、大きな荷物を抱え、叔母の家に居候させてもらうために向かいます。
彼の夢は、香港でお金を貯め、天津に残してきた婚約者の方小婷《シャオティン》(クリスティ・ヤン)を呼び寄せて、結婚することでした。広東語すら理解できなかったシウクワンだが、世話になりながら働くうち、次第に香港の生活にも慣れてきた。
ある日、生まれて初めてマクドナルドに行ったシウクワンはアルバイト店員の李翘《レイキウ》(マギー・チャン)と出会います。彼女から、必ず仕事のプラスになるからと、ジェレミー《Jeremy》(クリストファー・ドイル)が教師を務める英会話学校を紹介されます。実は、レイキウも大陸の広州出身で、故郷の母に家を建ててあげるために、さまざまなアルバイトをしていて、英会話学校からも生徒紹介料を稼いでいたのでした。
二人とも、テレサ・テン(鄧 麗君)が好きということで意気投合したシウクワンとレイキウは、だんだんとお互いに惹かれあっていきます。レイキウは、苦労して貯めたお金で、年末に、シウクワンに手伝ってもらい、にテレサのカセット・テープを売る露店を構えます。しかし大陸出身だと知られたくないため、誰もカセットを買ってくれません。雨でずぶ濡れになった二人は、その夜に初めて結ばれます。
紆余曲折がありながらも、お金を貯めたシウクワンは、シャオティンを香港に呼び、結婚式を挙げました。一方、レイキウは、マッサージの客だったヤクザのボス、パウ《欧阳豹》(エリック・ツァン)の愛人となり企業グループの社長となり、お金持ちになっていました。
一旦は、別れたシウクワンとレイキウでしたが。。。
感想:この映画が製作された1996年は、イギリス領香港が中国に返還される前年。そして、テレサが静養先のタイにて、42歳の生涯を閉じた翌年です。大陸からの出稼ぎ者の二人を主人公に、テレサの歌がバックに流れる本作品は、中国共産党の影響を受けることなく独自の映画文化が花開いた香港映画の “最後のあだ花” と言っても良いでしょう。
シウクワンが九龍駅に着いたシーンでモノクロだった映像が、賑わう香港の街中のシーンでカラーになります。ラストで再び九龍駅に着いたシーンになり、モノクロ映像に戻ります。ネタバレになってしまいますが、オープニングでシウクワンが寝ている後の席でも、寝ている女性がいましたが、顔は分かりません。ラストでその女性の顔が映り、レイキウであることが分かります。実は、二人は同じ電車で香港に出稼ぎに来ていたのでした。
レイキウの出身は、広州なので広東語も普通話(北京語)も話せるので、最初は、二人の会話は普通話でした。それが、シウクワンが香港の生活に慣れたくるに従い、広東語に変わります。
香港を舞台にした往年の 名画 「慕情」 を、オマージュするシーンが随所に登場するのも、香港映画人 の矜持(きょうじ)かも知れませんね。
別れた二人が、偶然にもニューヨークで生活することになり、シウクワンは中華料理店で働き、シウクワンは中国人相手の観光ガイドをしていました。同じ香港映画 『ブエノスアイレス』 でも、香港からブエノスアイレスに流れ着いた主人公も観光ガイドをしていましたね。
この設定は、『ブエノスアイレス』の撮影監督として参加したクリストファー・ドイルのアイデアでしょうか?
テレサのファンである隊長にとって、劇中に流れる彼女のヒット曲(中国語)の数々も楽しめました;
主題歌:「甜蜜蜜(テンミミ)」。
挿入歌:「涙的小雨(長崎は今日も雨だった)」、「再見!我的愛人(グッド・バイ・マイ・ラブ)」、「月亮代表我的心」
「月亮代表我的心」の曲紹介は、こちらをご覧ください 。
そして、エンドロールとともに流れるのが、レオン・ライ自身が歌う「甜蜜蜜」です。この曲、日本語バージョンがないので、邦題がありません。
最後になりますが、これまでに、「映画」の記事の中で、外国映画の邦題(日本語タイトル)の付け方の良い作品と、悪い作品を挙げていて、それを一覧にしています が、本作は悪い例だと思います。
原題の「甜蜜蜜」を直訳すると “甘い蜜” ですが、それが何故に平凡な『ラヴソング』になるのでしょうか。「甜蜜蜜」という曲が、甘い恋人たちを歌っているからとの理由で『ラヴソング』にしたのであれば、日本の配給会社の手抜きです。
そもそも、『○〇ラヴソング』とか、『ラヴソング〇〇』と似た様なタイトルの小説、漫画、ドラマ、映画があるのですから、『ラヴソング』では、この映画の意図するものが伝わりません。
隊長が、邦題を付けるとしたら、「忘れられない密の味」とか、「夢の中の幸せ」とかにしますね。
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Film211 2021/1/8 『ザ・シークレット・サービス』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/846675fb58e3211eecfd7d061e6fa53b
Film212 2021/1/13 『夜の上海』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/70f60cd2c3468a7c599a1346b47b11d0
Film213 2021/1/21 『Love Letter』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/552243317f059364271cc5596f177364
Film214 2021/1/30 『ロック・オブ・エイジズ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/cc096aab04f210346481a1b37fb25583
Film215 2021/2/6 『あの頃、君を追いかけた』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9a56182d38cb7f72df21926bacc4a1c4
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