隊長が、これまでに鑑賞した「映画 」を紹介するシリーズの第155回は、『若草物語(日活)』をお送りします。
『若草物語』は、米国の女性作家・ルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した自伝的小説です。この四人姉妹を描いた物語を原作・原案に、多くの映画・ドラマが制作されています。
今日ご紹介する『若草物語』は、前回の東京オリンピックが開催された昭和39年 (1964) に日活により製作・公開された作品です。
監督は、森永健次郎。
脚本は、三木克巳。三木克巳さんは、前年に公開された吉永小百合 主演の 『伊豆の踊子』 でも、脚本を担当しています。
四人姉妹の長女を、芦川いづみ。次女を、浅丘ルリ子。三女を、吉永小百合。末娘、を和泉雅子。と、当時の日活が誇る四大女優の華やかな競演で話題になりました。
尚、「隊長のブログ」では、吉永小百合さんが出演する作品を、これで六本紹介したことになります。詳細は、こちらをご参照下さい 。
他の出演者は、伊藤雄之助、浜田光夫、山内賢、和田浩治、ほか。
主題歌「若草物語」の歌手は、吉永小百合。また、挿入歌「路」を、浅丘ルリ子、吉永小百合、和泉雅子が歌っています。
あらすじ:若い後妻(東恵美子)を持った父親の勇造(伊藤雄之助)を気遣って、高村家の由紀(浅丘ルリ子)、しずか(吉永小百合)、チエコ(和泉雅子)の三人姉妹は伊丹空港から日航機に乗り、東京へ嫁いだ長姉・早苗(芦川いづみ)のところへ家出を決行しました。
三人揃っての出現に驚く早苗に、由紀たちは「お父さんの新婚の邪魔になるしね」と、すまして言いました。年頃娘三人に突然飛び込まれた早苗と夫・瀬川宏一(内藤武敏)の生活はかきまわされ、しぶしぶ貯金の一部を出してアパートを借りてやるのでした。こうして小さなアパートで、三人姉妹の生活が始まりました。。。
感想:前回の東京オリンピックの年に製作・公開された映画なので、画面のあちらこちらから急速に発展した東京の姿を窺い知ることが出来ます。
オープニングは、飛行機の目線で、羽田空港に着陸する様子が映し出されます。到着した飛行機は日本航空のプロペラ機。そして、当時の羽田空港にはまだボーディング・ブリッジの設備がないので、タラップから三姉妹が降りて来ます。
展望デッキに移動した三人。チエコが覗く望遠鏡に写るのは、同年に開業したばかりの現・東京モノレールの車輛です。そして、TVニュースのカメラマン次郎(浜田光夫)が乗り込んだヘリコプターから見下ろす東京の街並み。時代を感じさせます。
空港ターミナルビル出ると、日本航空と全日空の案内板がバックに映り込みます。現在の様に、LCCなど就航していなくて、日本の航空会社は、この二社だけだったのでしょう。
画面に登場する長野県の「上林ホテル(現・上林ホテル仙壽閣)」のプール。小さい頃に家族旅行で何度か訪れたことがある場所です。今はどうなっているか分かりませんが、このプール、子供だったからだけでなく、とても深いプールだったと記憶しています。聞くところによると、戦後米軍に接収され、その為、深いプールになったそうです。
今では、殆ど死語となった単語も登場します。「インスタマチックカメラ」、「アルサロ」、など。
チエコ役の和泉雅子のセリフ、「私、アルプスに行く」、意味深ですね。その後、女優業より登山家・冒険家としてマスコミに登場することが多くなった彼女。当時、劇場でこの映画を観た人は、まさか和泉雅子が登山家・冒険家になろうとは、夢にも思ったなかったでしょうね。
映画そのものの評価ですが、ストーリーが陳腐です。映画全盛期の頃、日活も数多くの作品を制作していて、デテールにこだわって作る時間的余裕がなかったのでしょう。それでも、四大女優競演ということで、お客さんを呼べた時代だったのだと思います。
最後になりますが、この映画が公開されてから55年が経ちました。出演していた多くの方が、既に鬼籍に入られています;
伊藤雄之助、山内賢、和田浩治、内藤武敏、東恵美子、ほか (敬称略)。
亡くなられた俳優の方々のご冥福をお祈りいたします。
==「映画」バックナンバー ==
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Film1~140 省略
Film141 2019/4/17 『芳華-Youth-』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ba7c3d70185efca9a6a2548e2349c814
Film142 2019/5/5 『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3d7b8668b52cea8fc68dc2ef910322e3
Film143 2019/5/19 『コラテラル』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d5f083dad2dfff12ddda9a2c1ef46b2e
番外編 2019/5/31 『訃報:降旗康男監督』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/788dfef3a9feda5273c9cb83a1b2c0a0
Film144 2019/6/11 『The Crossing -ザ・クロッシング- PartI』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/849e6b791556b4146f769632abbc9c5a
Film145 2019/6/19 『スティング』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/4f4577d7ea995b940026fa793953ecea
Film146 2019/6/25 『The Crossing -ザ・クロッシング- Part II』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f2e6de828b75a52aec7f61f0a3b670f7
Film147 2019/8/31 『ロケットマン』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/181e562234e904a24b783105a5a56387
Film148 2019/9/12 『SHADOW/影武者』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/5e2e616b5d1912cd493c64d1cfe9cfbd
Film149 2019/9/29 『無宿(やどなし)』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/588d633d181aa89ced0e7e5a5baf9484
Film150 2019/10/5 『さらば、わが愛/覇王別姫』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b8f2483904c252b83ad163625b9f1258
Film151 2019/12/16『網走番外地 南国の対決』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/36bdbc409dd433b38bf6a1ace78e5f64
Film152 2019/12/30『紙の月』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c2964d882b465238bd21369d6e5b662b
Film153 2020/1/2 『男はつらいよ お帰り 寅さん』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/938606ed09edbc2462abdb181b602559
Film154 2020/1/7 『WASABI』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d9f2c5d426f448a9ef643aadefdffb13
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