隊長が鑑賞した芝居・ミュージカル・古典芸能を紹介する「演劇」の第9幕(回)は、『1300里の彼方~えにしの氷川丸』をお送りします。
10月13日(日)は、友人の大森匂子 (わこ) さんが脚本を書いた『1300里の彼方~えにしの氷川丸』を、「銀座みゆき館劇場」に観に行きました。
演出:原田一樹。
大森さんの作の劇を観に行くのは、昨年12月の『あかつき』 以来です。
「銀座みゆき館劇場」に行くのは、昨年6月の同じく大森さん作『泣いて笑った私の人生』⇒ http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/e9aec8a60e8e7b375fe88cac45278ee9 以来。
一緒に行ったのは、大学時代からの友人で大森さんの連れ合いのT君と、同じく大学時代からの友人のK君です。
隊長とT君、K君は、大学生の頃、「銀座みゆき館劇場」の隣の隣にある「銀座能楽堂ビル」の駐車場でアルバイトをしていました。
アルバイトの内容は、今は廃止されてしまいましたが、「銀座能楽堂ビル」には立体式の駐車場があり、そこで駐車場の機械の操作・車の誘導・料金授受の仕事でした。
そんな事から、「銀座みゆき館劇場」周辺は懐かしい場所なのですが、久しぶりに銀座に行ってみて、「銀座東芝ビル」も建て替えの為に解体され、周囲の様子も大分変わっていました。
さて、『1300里の彼方~えにしの氷川丸』の内容ですが、劇団「方の会(ほうのかい)」 の主催者で、この劇にも出演されている、市川夏江さんが幼少の頃に過ごされた中国海南島での思い出てと、戦争が激しくなり同島から “氷川丸” で引揚げをした物語です。
恥ずかしながら、戦前の海南島に多くの日本人が住んでいた事も、今は 横浜港に係留されている “氷川丸” に、こんな逸話が有ったなんて、この劇を観るまで、全く知りませんでした。
海南島には、今年の5月に行っているので、尚更、思い入れを込めて、観劇しました。
市川夏江さんが住んでいた、同島北部の “海口” にも行って、戦前からの古い街並みも見て来ました⇒ https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f99305addcd0768ab301dcf25b6f5d00
又、戦争末期にはあちこちに機雷が沈められていて、市川さん達がやっとの思いで “氷川丸” に乗船した “三亜湾” も、今では観光客で賑わっています⇒ https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ab2b0c80acce2093f56a3b5c923e7318
海南島に行く前に、この劇を観ていたら、現地での感慨もさらに深いものになっていたでしょう。
今回の出演者は、ベテランの男優・女優さんが11名、若手が3名、子役の女の子4名の総勢18名です。
ベテラン陣の演技の確かさは、言うまでもありませんが、若手・子役達も頑張っていました。
海軍通信官:根本を演じた新田将司さんは、前半の市川家でくつろいでいる時の表情と、後半の兵隊として、任務と恋人との狭間で揺れる苦悩の演技が光りました。
根本の恋人で、レストランの従業員 キンケイを演じた大木梓彩 (あずさ) さんも、前半での子供達と “兵隊さんのおかげです” を歌い、踊った時の明るい表情と、恋人と引き裂かれるつらさを見事に演じていました。
4人の子役も、小劇場で観客との距離が近いのにも関わらず、それぞれの役に集中して演じていました。
セリフも完璧で、彼女達の演技に、何度も涙がこぼれそうになりました。
特に、市川さんの子供時代を演じた、前田優奈ちゃんには、感心しました。
妹を励ましながら、トンネルの中を進む時の演技には、妹思いの気持ちがストレートに伝わって来ました。
あと、素晴しいなと思ったのは、セット・照明・小道具です。
狭い空間にも関わらず、同じ舞台セットが、海口の家、氷川丸船内、列車内、等に変わり、照明と相まって、スコールの後の海口の家のベランダの光景は、まるで本物の様でした。
ランドセル、絵本などの小道具も、あり合わせの物ではなく、戦時中の雰囲気を出していました。
ただ、ひとつ残念だったのが、中国語のセリフです。
中国人役の3人が、中国語でセリフを喋るシーンが多かったのですが、大多数の観客に取っては、“謝謝(Xiexie)” ぐらいしか分からなかったのではないでしょうか。
隊長にも、普通の速さで話している中国語は聴き取れましたが、感情が高ぶって早口になるセリフは聞き取れませんでした。
日本語字幕を表示するか、セリフを片言の日本語で喋っても良かったのではないでしょうか。
尚、大森匂子さん脚本の次回の芝居は、来年1月22日~28日に「新宿 @SPACE雑遊」で行われる『みすゞかる』です。
今回の『1300里の彼方~えにしの氷川丸』で、中国人のお手伝いさん役を演じた沼口莉瑳さんが主演します。
本公演に関するお問い合わせは、「劇団劇作家」:080-5498-5037まで。
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