ポルトガルのえんとつブログ

画家の夫と1990年からポルトガルに住み続け、見たり聞いたり感じたことや旅などのエッセイです。

K.006. 17世紀柄小鹿と花模様陶器小物入れ Caixa Pequena Sec.ⅩⅦ

2018-10-12 | 飾り棚


10.5x8x4.5cm

 この種類の焼き物はこのコーナーの第一回に登場した「石鹸入れ」に続いて二回目。
 この器には最初 100%ポルトガルの材料を使って創作した「うめぼし」を入れて使っていた。
「ポルトガルのえんとつ」108頁「葡萄牙国の梅干しもどき」参照

 ところが塩分が強すぎたのか、しばらく使っているうちに、器の回りから塩が吹き出してせっかくの可愛い絵柄を少し剥がしてしまった。
 急いで「うめぼし」を別の容器に移してその後、永いこと水に浸けて、乾かし、また水に浸け乾かしを何度か繰り返しすっかり塩分を抜き取った。
 でもうわぐすりが多少剥がれ、さらに貫乳(かんにゅう)が入って17世紀柄に相応しい、まるで博物館の展示物のような貫禄がついた。

 今は紅茶用のペットシュガー入れに使っている。
 甘い砂糖の方がこの可愛い絵柄にマッチ?して塩梅(あんばい)が良い。MUZ
©2018 MUZVIT


K.005. 鉄製鹿の蝋燭立て Castiçal em metal

2018-10-12 | 飾り棚

高さ40cm、皿の直径15cm

 アレンテージョ地方のカンポ・マヨールのような少し大きな町に行くと、二階のベランダが美しい鉄製の枠で飾られていて目を引く。
 その殆どが唐草模様の様なものであるが、各家によって様々で見ていて飽きない。
 また煙突のてっぺんや屋根の上には同じ工法で作られた風見鶏などもみる。
 そしてそんなものを作っている町工場を時たま見かける。
 鉄を火に入れハンマーで叩き曲線を作り出し溶接する。
 これはその技術を使っての小物である。
 アフリカの鹿だろう。角のねじれた部分と長い足が気に入っている。
 縦長の割には重いので安定しているから、食卓を立体的に使うにはもってこいで、器としても何にでも使えるのだろうが我家では蝋燭立てに使っている。
 ちなみにベランダの事をポルトガル語では「バランダ」という。
 カッパ、メリヤス、シャボン、ビードロ、ボーロ、コンペイトウ、カステラと日本語になったポルトガル語はたくさんあるが「ベランダ」もその一つだろう。MUZ
©2018 MUZVIT


K.004. アレンテージョ農家模様オリーブ入れ Azeitoneira

2018-10-12 | 飾り棚

 ヴィッタル・ジャネイロ工房のオリーブ入れ。
 黒々としたオリーブの実が画面前面に配置され、なにか浮世絵(ジャポニズム)的な構図のとりかたを思い起こす。
 バックにアレンテージョの農家とオリーブの木。そして麦畑。
 真っ青なアレンテージョの空にぽっかり浮かぶ真っ白い雲と大きな太陽。
 その空にカラスが群れ飛んでいる。
 「カラスが群れ飛ぶ麦畑」というとゴッホのオーヴェールでの作品を思い浮かべるが、カラスはポルトガルでは神聖な鳥。
 リスボンの市の鳥にもなっている。
 絵柄のある広い方にオリーブの実を入れ、狭い部分に食べたあとの種を入れる。
 我家では塩漬けオリーブの他にナッツを入れたり焼き栗を入れたり、果物を入れたりといろいろと使って楽しんでいる。
 ろくろで皿を作って手で少しひょうたん型にひねり、粘土で間仕切りを入れる。
 小さいけれど結構手間の掛かる焼き物である。
 オリーブ入れはポルトガル独特で面白い物が多いので、これの他に30余りのコレクションがあります。
 でもどれもこれも手造りならではの趣がある。
 今後順次このコーナーでご紹介していきます。MUZ
©2018 MUZVIT

 


K.003. 素焼き舟水がめ Bilha Barro para Água

2018-10-12 | 飾り棚

 これも随分前にセトゥーバルの夏祭りの出店で買い求めたもの。
 なんともユーモラスな形が気にいった。
 水がめは普通もっと縦長。
 日本にも舟の中でも安定して使えるどっしりとした、舟どっくりと言うのがあるがそれに類するものだろう。
 港町の出店ならではの品。
 昔、暑い夏のギリシャをキャンピングマイクロバスで旅行中、水瓶には随分お世話になった。
 ポリタンクの水はすぐに生ぬるくなってしまうが、水瓶の水は逆にどんどん冷たくなる。
 素焼きだから気化熱を発し、中味の水を冷やすのである。
 魔法瓶(びん)いらず、大昔から使われてきた魔法の瓶(かめ)である。MUZ

©2018 MUZVIT