朝
初孫くんがやって来たと同時に
イエデンが鳴った
朝早くかかってくる電話って
ロクな電話じゃないと思いながら
受話器を取ると…
案の定そのとおりで
施設に入っていたオバさんの訃報だった
うちのバアさんと同じように
90歳を超えての逝去だから
どちらかといえば大往生?
哀しむというより
やれやれといった安堵感が
連絡をくれたイトコのホンネだろう
うちのバアさんもそうだったが
長い間コロナ禍でロクに面会もできず
イタズラに日々が過ぎていくだけで…
もちろん喪失感というか
家族を失ったという寂しさはあるにしろ…
いつかは誰でもそうなっちまうんだから
僕だって誰だって…
そんな中で
お金というか費用はかかるけど
面倒を見切れない高齢者を受け入れてくれる
施設があるということは
同居している家族にとって
本当に救いになるものだと…
自らの経験から
まさに痛感している次第で…
いずれ
自分も同じようにお世話になるのだろうと
そんなことを覚悟しながらも…
なので
初孫くんを送り届けたあとの
ジョグ前のアップも何となく力が入らず…
若くて元気だった頃のオバさんの笑顔が
頭に浮かんできて集中できないまま
ジョグをスタート…
この子をお供にして…
昨日が休足日だったせいなのか
最初の走り出しは全くシックリこない
宙に浮いてるみたいな
フラフラとしたステップ
たった1日休んだだけなのに
長い間走ってないようなアンバランスな
妙な錯覚
なのにふくらはぎや腿裏には
鈍く重い疲労感があって
足取りの覚束なさを助長する
果たして
休足日を取ることが良いのか悪いのか
そんな疑問すら…
それでも
4〜5キロほど走れば
段々と疲労感も感じなくなり
ステップも心持ち軽くなってくるのは
いつものツネ?
なぜだかよくわからないけど…
残り1キロを切ってからは
ペースもそこそこアップし出して
まるでそこからが本調子のような…
結局10キロジョグの
トータル的なタイムやペースは
いつもとなんら変わらないデキ
そんなに嬉しくもないし
ガッカリもしないチグハグな…
まぁこれが
ポンコツジジイのいまの実力なのだろう
大会での5時間切りは思った以上に厳しそう
ペースが上がってた
残り500メートルくらいのあたりで
小路から現れたオバちゃんと目が合って
不意に声をかけられた
○○くん!
マスクをしてて確証はないけれど
たぶん同級生だった女子の1人
やぁ!と手を上げながら
挨拶を返したけど…
かつて半世紀以上も前に
僕に好意を寄せていたと思われる女子
いまはすっかりバァさんだけれど…
おそらく
中学生時代に何通か貰ったことのある手紙?
ラブレターまがいの…
その差出人の1人だと誰かから聞いたはず…
もし彼女が美人だったら
僕も返事を返したかもしれないけど
残念ながら…
それにしても
走ってる姿を見ただけなのに
それが僕だとよく分かったもんだと…
彼女とは同窓会でしか会わないので
もう何年も顔を合わせたことがないのに…
ひょっとして走ってる姿を
どこかで見られてるのだろうか?
かもしれないなぁ
これだけ毎日のように走ってれば…
みんなに見られてるからなぁ
でも
リタイアしてから少なくなった髪を伸ばし
しかも金色なのか茶髪なのかわからない
ケバめに染めてるし…
髭も生やして
一見して僕だとはわからないと
友人たちから言われてるのに…
なのに彼女には
走ってるのが僕だと分かったのだろうか?
だとすると
なんとなく不気味というか…
あんまり目立つことはできないのかも…
アラ古希某カオルさんとのデートとか…
いや
その前にオープンカーに乗ってる時点で
目立ち過ぎだよなぁ
だけど
それこそ僕が運転してると思わないだろう
僕がオープンカーに乗り換えたことを
知ってる人は別にして…
まぁいずれにしても
出来るだけ目立たないようにしないとなぁ
って…
いまさら遅いか?
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