♪LIVE! 憲法ミュージカル in さんたま2008♪の実行委員をしていることを以前に書きましたが、そのプレ企画として、2008年のテーマでもある従軍慰安婦について、ジャーナリストと若い世代の取り組みについてそれぞれ話を聞きました。
1人目はジャーナリストであり、「女たちの戦争と平和資料館」館長である西野瑠美子氏。アメリカの公文書館等あちこちから苦労して入手された文書や写真をスライドで見せてくださりながらの、歯切れの良い迫力のあるお話でした。
陸軍の文書には、慰安婦を「皇軍将兵への贈り物」との記述が、慰安所については「軍用特殊慰安所は享楽の場所にあらずして衛生的なる共同便所」なる記述が残っています。慰安所の門には、「聖戦大勝の勇姿大歓迎」「身も心も捧ぐ大和撫子のサーヴィス」との2つの大きな垂れ幕が。
騙されて連行され、逃げることもできずに慰安婦として従事させられた女性たちの写真も残されています。そして、順番を待って行列する兵士たちの姿も...。
真実味を帯びれば帯びるほど、「こんなことが人道的にまかり通っていいはずがない」「日本政府が謝罪しないのは許せない」と思います。
これだけの証拠を残しながら、軍のしたことではなく業者がしたことだと責任転嫁してはばからない我が国の責任者とは、一体何なのでしょうか。そして、それを選んだ国民とは......。自分に問いの矛先がつき返されるような気がしました。
「慰安婦問題は、人間の尊厳に関わる問題だ」と最後におっしゃった西野さんの言葉が印象的でした。
----------------------------------------------------
西野さんの本をご紹介します:
◆ 『置き去りにされた朝鮮人「慰安婦」』
◆ 『まんが「慰安婦」レポート』
◆ 『Q&A女性国際戦犯法廷』
◆ 『証言 未来への記憶 アジア「慰安婦」証言集 在日・南・北コリア編』
----------------------------------------------------
2人目のゲストは、神戸女学院大学の石川康宏教授。石川ゼミでは、2004年から慰安婦問題に取り組んでいます。きっかけはその前年の学生さんたちが卒業旅行として韓国に行き、自由時間に立ち寄った「ナヌムの家」でのハルモニ(:韓国・朝鮮で親しみと尊敬を込めた高齢の女性に対する呼び名)とのふれあいだったそうです。石川先生は、「日本の主権者である『私の責任』」と「教育者としての責任と役割」とを考えさせられ、次年度のゼミの研究テーマを従軍慰安婦に急遽変更なさったとか。
それ以来、「前期の授業で問題を学び、夏休みに『ナヌムの家』を訪問し、秋には本を出版する」というゼミの年間サイクルができたそうです。
ゼミの学生さん2名も、わざわざ神戸から足を運び、ゼミの取り組みについて語ってくれました。先輩たちが出版した本のおかげで、学外から講演や発言の依頼が多数あり、今年は30件以上のリクエストに応えているそうです。
生のハルモニとのふれあいを通じ、「自分たちにできることはないか」「自分たちでハルモニの思いを伝えていこう」と始まった取り組みが、年を追うごとにテーマを深め、現在は市民に慰安婦問題の解決をよびかけているとのこと。すばらしいですね。
「若いのにえらいね」とよく言われるそうですが、「えらくなんかない」「普通の学生だ」と反発し、「みなさんも行動を起こしてほしい」と呼びかけるそうです。
ご本人たちも先生も言われるように、彼女たちは本当にごく普通の女子大生です。最初見たときはモデルさんかと見紛うばかりの容姿とファッション。今時のどこにでもいそうな女子大生でした。
でも、その普通の若者が、戦争の悲惨さを肌で感じる取り組みを通じ、また石川先生の「押しつけではない、自主性を促す教育」に導かれることによって、短期間で学びを深め、考え方が変わり、行動を広げることができるのですね。そんな若者の活力あふれる真摯な姿を垣間見ると、「今時の若者は...」という親世代である大人の批判的な言葉は、大人の若者に対する一面的な決めつけであり、一種の責任転嫁と自己弁護のための言葉でもあるのだと気づかされます。
ちなみに、石川先生は私より1つ年長の同世代、まさに私たちはこの女子大生たちの親世代であるわけです。本来は、我々親世代が子世代に戦争の悲惨さを語り継ぐ立場ではありませんか? それが逆に子世代が親世代に向けてそれを発信している...彼女たちを頼もしく思う反面、自分の無力さ、無責任さを恥ずかしく思いました。
それでも、石川先生の最後の言葉に大いに励まされました。「全国に広がる9条の会等の草の根レベルの活動が、今徐々に広がりつつ確実にパワーをたくわえている実感があります」......私たちの今回の企画や、それにつながる♪憲法ミュージカル♪もそうであることを信じ、前を向いて活動を続けたいと思いました。
----------------------------------------------------
石川先生や石川ゼミの本をご紹介します:
◆ 『いまこそ、憲法どおりの日本をつくろう!-政治を変えるのは、あなたです。』
◆ 『ハルモニからの宿題-日本軍「慰安婦」問題を考える』
◆ 『「慰安婦」と出会った女子大生たち』
◆ 『「慰安婦」と心はひとつ女子大生はたたかう』
----------------------------------------------------
長文を読んでくださり、ありがとうございました
1人目はジャーナリストであり、「女たちの戦争と平和資料館」館長である西野瑠美子氏。アメリカの公文書館等あちこちから苦労して入手された文書や写真をスライドで見せてくださりながらの、歯切れの良い迫力のあるお話でした。
陸軍の文書には、慰安婦を「皇軍将兵への贈り物」との記述が、慰安所については「軍用特殊慰安所は享楽の場所にあらずして衛生的なる共同便所」なる記述が残っています。慰安所の門には、「聖戦大勝の勇姿大歓迎」「身も心も捧ぐ大和撫子のサーヴィス」との2つの大きな垂れ幕が。
騙されて連行され、逃げることもできずに慰安婦として従事させられた女性たちの写真も残されています。そして、順番を待って行列する兵士たちの姿も...。
真実味を帯びれば帯びるほど、「こんなことが人道的にまかり通っていいはずがない」「日本政府が謝罪しないのは許せない」と思います。
これだけの証拠を残しながら、軍のしたことではなく業者がしたことだと責任転嫁してはばからない我が国の責任者とは、一体何なのでしょうか。そして、それを選んだ国民とは......。自分に問いの矛先がつき返されるような気がしました。
「慰安婦問題は、人間の尊厳に関わる問題だ」と最後におっしゃった西野さんの言葉が印象的でした。
----------------------------------------------------
西野さんの本をご紹介します:
◆ 『置き去りにされた朝鮮人「慰安婦」』
◆ 『まんが「慰安婦」レポート』
◆ 『Q&A女性国際戦犯法廷』
◆ 『証言 未来への記憶 アジア「慰安婦」証言集 在日・南・北コリア編』
----------------------------------------------------
2人目のゲストは、神戸女学院大学の石川康宏教授。石川ゼミでは、2004年から慰安婦問題に取り組んでいます。きっかけはその前年の学生さんたちが卒業旅行として韓国に行き、自由時間に立ち寄った「ナヌムの家」でのハルモニ(:韓国・朝鮮で親しみと尊敬を込めた高齢の女性に対する呼び名)とのふれあいだったそうです。石川先生は、「日本の主権者である『私の責任』」と「教育者としての責任と役割」とを考えさせられ、次年度のゼミの研究テーマを従軍慰安婦に急遽変更なさったとか。
それ以来、「前期の授業で問題を学び、夏休みに『ナヌムの家』を訪問し、秋には本を出版する」というゼミの年間サイクルができたそうです。
ゼミの学生さん2名も、わざわざ神戸から足を運び、ゼミの取り組みについて語ってくれました。先輩たちが出版した本のおかげで、学外から講演や発言の依頼が多数あり、今年は30件以上のリクエストに応えているそうです。
生のハルモニとのふれあいを通じ、「自分たちにできることはないか」「自分たちでハルモニの思いを伝えていこう」と始まった取り組みが、年を追うごとにテーマを深め、現在は市民に慰安婦問題の解決をよびかけているとのこと。すばらしいですね。
「若いのにえらいね」とよく言われるそうですが、「えらくなんかない」「普通の学生だ」と反発し、「みなさんも行動を起こしてほしい」と呼びかけるそうです。
ご本人たちも先生も言われるように、彼女たちは本当にごく普通の女子大生です。最初見たときはモデルさんかと見紛うばかりの容姿とファッション。今時のどこにでもいそうな女子大生でした。
でも、その普通の若者が、戦争の悲惨さを肌で感じる取り組みを通じ、また石川先生の「押しつけではない、自主性を促す教育」に導かれることによって、短期間で学びを深め、考え方が変わり、行動を広げることができるのですね。そんな若者の活力あふれる真摯な姿を垣間見ると、「今時の若者は...」という親世代である大人の批判的な言葉は、大人の若者に対する一面的な決めつけであり、一種の責任転嫁と自己弁護のための言葉でもあるのだと気づかされます。
ちなみに、石川先生は私より1つ年長の同世代、まさに私たちはこの女子大生たちの親世代であるわけです。本来は、我々親世代が子世代に戦争の悲惨さを語り継ぐ立場ではありませんか? それが逆に子世代が親世代に向けてそれを発信している...彼女たちを頼もしく思う反面、自分の無力さ、無責任さを恥ずかしく思いました。
それでも、石川先生の最後の言葉に大いに励まされました。「全国に広がる9条の会等の草の根レベルの活動が、今徐々に広がりつつ確実にパワーをたくわえている実感があります」......私たちの今回の企画や、それにつながる♪憲法ミュージカル♪もそうであることを信じ、前を向いて活動を続けたいと思いました。
----------------------------------------------------
石川先生や石川ゼミの本をご紹介します:
◆ 『いまこそ、憲法どおりの日本をつくろう!-政治を変えるのは、あなたです。』
◆ 『ハルモニからの宿題-日本軍「慰安婦」問題を考える』
◆ 『「慰安婦」と出会った女子大生たち』
◆ 『「慰安婦」と心はひとつ女子大生はたたかう』
----------------------------------------------------
長文を読んでくださり、ありがとうございました