えつこのマンマダイアリー

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第5章 放射線治療 11.

2007年07月05日 | 乳がん闘病記
11. 
 手術前は、混乱の日々の中でもそれなりに勉強し、納得して治療に臨んだ。今回も補助療法について勉強していたはずなのに、この日の私はどういうわけかぼぉっとしていた。夫がそばにいるという安心感からだったのだろうか…。気づくと、「ここまではよろしいですか?」とY先生に訊かれていた。しかも、ちっともよろしくはないのに、「はい…」と答えてしまっていた。

 先生は話を先に進めた。A・B・Cの病理検査結果と閉経前という事実を踏まえ、先生に推奨された補助療法をまとめると次のようになる。
  ・局所(残存乳腺)への放射線照射:2Gy×5日×5週間=50Gy
  ・ホルモン療法:
    (a)タモキシフェン*内服 10mg 2錠/日×5年間
    (b) LH-RHアゴニスト製剤*皮下注射 1回/月×2年間

 ここまでは予想どおりの展開だった。ごく標準的な治療でもあった。次に、話が放射線治療について具体的になるだろうと身構えていると、Y先生にしては珍しくおずおずと、言いにくそうに切り出した。「実は、放射線治療なんですが…」 なんと、この病院の放射線科では当面治療が受けられなくなったと言うではないか…リニアック(lineac:リニア加速器)*という機械が古くなったので、更新のため工事をする間は新しい患者を受け入れられない、違う病院を紹介する、というのだ。これには驚き、言葉を失ってしまった。

 私がこの病院を選んだ理由の1つは、交通の便がよく、通いやすいことだった。放射線治療のためには少なくとも5週間は日参しなければならないことがわかっていたからだ。しかも、設備の整っているこの病院なら安心だとも思ったのだ。術前に骨シンチ検査をしたとき、同じフロアにリニアック治療室があることを、私はちゃんと確認していたのだ。リニアックは大がかりな設備なので、どの病院にも必ず備えられているわけではない。
 私がこの病院を選んだこれらの理由は、セカンドオピニオンを求める直前に先生に渡した手紙で伝えておいたので、Y先生にはわかっているはずだ。最初に上昇したY先生の株価が、私の中でまた下がるようだった。

 ―どういうことぉ? それならそうと、事前に言っといてよ…もっと前からわかってたはずでしょうが…― すると、そんな私の困惑を見抜いたかのように、先生はつけ加えた。「私もつい最近知ったことでして…もっと早くから周知しておいてくれないと、我々も困ってしまうんですけどね…」と。同じ病院内でそんなことがあるだろうか? 先生は申し訳ないと繰り返した。先生にしても、私がセカンドオピニオンを求めた上でこの病院とY先生を選んだことに対し、一種裏切るような気持ちを抱いたのかもしれない。いや、そうであると思いたかった。


 ** タモキシフェン・LH-RHアゴニスト製剤については、「第6章 ホルモン療法」にて詳述します。
 * http://www.fujimoto.or.jp/medical/liniac.htm

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