「平和百人一首」とこのシリーズについての解説は、初回記事と2回目の記事をご参照ください。前回記事はこちらで見られます。
なお、かなづかいや句読点は原文のままとするので、読みづらい点はご了承ください。
平和百人一首
昇る日の光仰ぎてわれ願ふ 国国の幸人人の幸
滋賀県滋賀郡仰木村 竹村 たか子
現在の我々日本人はもはや単なる日本人ではなくて、世界人としての責任と義務とを自覚しなければなりません。「のぼる日の光浴みつつわれ願ふ」は、この意味に於て世界愛を基盤とした平和への祈りを表したものであり、「人人の幸、国国の幸」は全世界を家庭と考へ、全世界を一家族としての親愛感を宗教的に昇華させようとした表現です。
国家的差別、人種的差別がなくなつた時こそ、この地上に永遠の平和が来る時です。
昇る日のひかりを身に浴びつつ、世界の人人の幸福を、世界の国国の幸福を毎日私は祈りつづけることでしよう。
昭和19年6月、私は両親と共に滋賀県の農村へ疎開して以来、農民の自己中心的な考え方に対して幾多の憤懣を覚えずにはいられませんでした。
知性の低さ、文化的な低さが反民主的な傾向さえ帯びている農村の諸事情への批判も亦この歌をなした原因です。
(たか子)