
ふくタユウ(福太夫)の知り合いに、
女性茶人がいた。
この茶人が属するところは、
かつて、
千利休を祖とする三千家の一流派が、
三千家の1万倍の茶道を極めたとして、
三千万家を名乗っていた。
この時点で、
茶の香り以上に、
インチキの香りが充満する😨
この三千万家の中のフリースタイル流派を極めたのが、
かきのもとのまる子(柿本まる子)やった。
この、
ユニークというよりDQN度の高い茶人の元に、
福タユウと妻のツマブキが訪れた。
かきのもとのまる子によって、
茶室へと通される時に、
ツマブキがいきなり転んで、
動かなくなった。
かきのもとのまる子は、
「タユウ。インドの変異株じゃないの?」とささやいたが、
タユウは、
「今、痛みをこらえているところでございます。もう少しして、動き出します」と説明した。
あんじょう、
ツマブキは立ち上がり、
そのまままる子の案内で、
茶室に入った。
まる子はDAISOで買った茶碗に抹茶を点てて、
タユウ夫婦に手渡した。
三千万家フリースタイルの流儀の特徴は、
指の第三関節に力を集中させて、
茶碗を回す時に、
「表三千万(おもてさんぜんまん)表三千万(おもてさんぜんまん)表三千万(おもてさんぜんまん)と呟いていただく、
全く茶道的根拠のないもんやった。
また、
指の第二関節ならまだしも、
第三関節に力を集中させて茶碗を回す芸当はムズいので、
ツマブキは、
茶碗を落としてしまった。
福タユウは嫌味っぽく、
「きにょ(貴女)は茶の入った茶碗より、永谷園の茶漬けの入った茶碗が好ましかろ😛」と言った。
かきのもとのまる子は、
「そうちゃ😠」(中国地方から北九州で使われる、そうですよという意の方言)と呟き、
『お~いお茶』のペットボトルを代わりに手渡した。
ここから、
タユウ夫婦の、
コロナ禍にある沈痛な思いの数々が語られた。
かきのもとのまる子はやさしく頷いて、
「かつて、西部のガンマンは、どんな時でも夕陽を背にして振り返らずに、真っ直ぐに進むのが流儀とされていました」と語ると、
ツマブキが、
「映画でありました。弱い農家を助けたガンマンが夕陽を背にしてたら、子供が出て来て『しえー!ガンバ!!』と叫びましたが、振り返りませんでした」と言った。
すぐにタユウが、
「シェーン、カンバックと言うとんや❗️」と怒鳴り、
「まる子様。こいつは、『パラサイト半地下の住人』を借りてくると抜かして『薔薇咲いた❗️ハンカチ王子の就任』を借りて来たのですよ。恥の恥です!!」と捲し立てたので、
まる子は「そうちゃ😤」と同調した。
そして、
「あなた方もコロナ禍にあるガンマン。後ろを振り返らずに、流儀に則って、前へ進みなさい」とアドバイスした。
この言葉は、
この夫婦を奮い立たせた。
タユウ夫婦は、
かきのもとのまる子に、
「決して後ろを振り返りません」と約束して、
家路に向かった。
1時間後、
派出所から警察官👮♀️が、
かきのもとのまる子のところに来て、
「軽い怪我で済みましたし、運転手が悪くなるのは仕方ないです。しかし、後ろを振り返るなという言葉を鵜呑みにして、車が来て、そのままはねられたとか、常識はずれも甚だしく思われます!」と言うと、
かきのもとのまる子は、
寂しげに、
「そうちゃ🥺」と呟いた。