
コトの始まりはこうやった。
サトという電動車椅子に乗った身体障害者のオトコが、
無性に酒🍶が飲みたくなった。
そこに、
福太夫(フクタユウ)の妻のツマブキが通りがかったので、
サトは、
「近くに角打ちが無いか?」と尋ねた。
ツマブキは知ってるから案内すると言って、
サトをとある一軒家に連れてきた。
サトは不思議そうに一軒家を見ながら、
「ここが角打ち?」と言った。
ツマブキは、
「はい。ここに各(かく)さんが独り住まいしてますから」と答えた。
サトは不愉快にこのことを考えた。
「各(かく)という人間の家やからカクウチか?ツマブキは、いくら感覚が毎日泥酔してても、この勘違いは酷い😡」
サトは、
「ツマブキ。たまにはシラフになれ」と嫌味言って、
電動車椅子で走り去った。
ツマブキがコトの次第を福タユウに話したので、
タユウは、
サトに、
電話して、
罵りに罵った!
ある日。
晴れたり曇ったりと、
優柔不断な空模様の中、
タユウが道を歩いていると、
電動車椅子のサトが後ろから追い越しざまに、
「タユウのばーか😛」と言って、
走り過ぎて行った。
タユウは小型プラスドライバー🪛を取り出して、
サトの額に刺そうと思ったが、
諦めた。
理由は、
その日に限って、
小型プラスドライバー🪛を家に忘れて来たからやった。
が、
込み上げてくる怒り💢に頭を冷やしたいと思った矢先に、
凄まじい豪雨になった。
前も見えない豪雨の中、
サトの、
「お助けください❗️お助けください❗️」の叫びが聞こえた。
タユウがその声の方に向かうと、
ナンと、
サトの電動車椅子の車輪が、
ふたが外れた排水溝にハマった状態になっていた。
「お助けください」連呼をするサトをタユウは冷ややかに見た。
サトがタユウの姿に気付くと、
大声で、
「神の子タユウ!わたしをお助けください!」と言った。
その時、
サトの電動車椅子横の凄まじい水溜まりの上を車🚗が一台走った。
物凄い水しぶきが、
サトの全身を濡らした。
サトは必死に、
「神の子タユウ!わたしをお助けください!」と叫んだ!
タユウはニヤリとしながら、
「心の中でお前を助け、心の外ではお前を助けない」言うて、
置き去りにした。
車🚙が何台🚙🚗🚚🚛🚌🚐🚕も、
サトの横の水溜まりの上を走り、
その度に、
凄まじい水しぶきがサトの全身に降り注いだ!
一向に止まない豪雨の中、
サトの、
「お助けください❗️お助けください❗️」という悲痛な叫びが響き渡った!
サトが助けられたのは、
豪雨が止んだ1時間後の、
日が差したときやったらしい。