ケイシロウとトークアバウト

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サンタクロースは振り向かない

2021-12-25 22:36:00 | 日記




非常に裕福な家庭があった。
たくさん所有していた土地が、
高値で売れまくり、
金には不自由しない家庭となった。
この家庭の夫婦の座右の銘は、
「金こそすべて」やった。
また、
生まれた子供にも、
長女を金子(かねこ)と名付け、
長男を金太郎(かねたろう)と名付けた。

そして、
この土地成金家族は、
当然のように、
フツーに暮らす近所を見下していた。
特に、
妻のサチコは、
「我が家は金(きん)に囲まれ、近所は菌(きん)に囲まれる」とまで言い、
近所から呪われた😳

そんなある日、
夫の会社の経営難から、
この裕福な家庭は、
1日7食食ってた飯が、
1日1食となった。
この家庭の凋落ぶりを、
近所は知って知らぬふりをした。

1日1食でもやし食うのに疲れ果てた家族の為に、
散々人を見下していた世界へと、
サチコは歩むことを決意した。

大手モールの事務所に訪れたサチコは、
気品よく、
「求人募集のお広告見て参上いたしましたの?ハヨ雇ってつかあさい!」と、
相変わらずの上から目線でモノを言った。
面接官の人事部長にウツが入ったので、
サチコを追い払おうとした時、
専務が来て、
売り場のサンタクロースが急病になったから、
あの人を雇えと小声で言った。
人事部長は専務に、
「あんなプライドが高くて人を見下してる人を雇うんですか?履歴書の最終学歴には江戸大学卒と書いてあります。ありもしない大学書いて詐称してますよ!」と小声で反論すると、
専務は、
「頭の足らん奴でも今は必要なんだよ」と小声で言い返した。
サチコはツンとしながら、
「各々方。全部聴こえておりますことよ」と言った。

専務は、
サチコと雇用契約を結んだ。
そして、
サチコをイベント部の部長のポジション与えた。
サチコはイベント部の部長の仕事はナニかと問うと、
男性社員が、
「部長はサンタクロースの格好で、売り場をホウホウ言いながら、歩き渡らないといけません」と答えた。
サチコは顔を曇らせ、
「そのようなことをあたくしがしなければいけませぬことか😨❓」と問うと、
男性社員は、
「はい。その仕事はイベント部の部長職しか出来ない高貴なお仕事ですから」と答えた。
サチコは承諾した。

翌日。
サンタクロースの格好で、
鈴を鳴らしながら「ホウホウ」言って、
売り場を歩くサチコに気付いた近所の主婦が、
集まって来た。
そしてサチコに、
「あなたサチコさんでしょう?」と問うと、
サチコは、
「あたくし、そのような名ではございやせんの。ごめんあそばせ」言うて、
再び、
「ホウホウ」言いながら、
売り場を歩いた。
近所の主婦たちは、
サチコの後ろ姿に、
いきなり、
「サチコさん‼️」と大声で呼び掛けたが、
条件反射でも振り返ることはなかった。

この光景を見ていた人事部長が、
サチコに、
「正体完璧にバレてるのに、なぜ、振り返らなかったんですか?」と問うと、
サチコは、
「ほほほほ、ホウホウ」と笑い、
「お仕事の最中にサチコなど存在いたしません!存在しているのは、イベント部の部長であるあたくしざんす」と答えた。

クリスマスが終わっても、
会社側は、
サチコに居残るように懇願して、
プリキュアだのメフィラス星人だのおひなさまだののコスプレやらせたが、
サチコは、
イベント部の部長として、
堂々と仕事した。

一連の出来事に感動した社長は、
サチコを、
企画部主任部長に大抜擢した!
モノホンの大会社の重役にまで上り詰めたサチコ。
相変わらず人を見下しながらも、
その見下しに悪意が削がれている事実から、
近所では、
とても好かれるおばさんとなった。

そしてクリスマスには、
イベント部の部長の初心に帰ると言って、
サンタクロースの格好して、
売り場を歩くという。