今年になって初めて読んだ小説久々の東野圭吾1999年の作品
19年前の質屋殺しからこの話は始まる・・・高度成長期からバブル崩壊の年代・・・
大阪の下町から東京の成城の高級住宅地を舞台に,さまざまな事件がしだいに繋がっていく
複雑に絡んだ人間関係・・・なんともやりきれない成育歴を持つ・・・雪穂と亮司
二人の関係は途中から絡まっていくことになるが・・・それぞれの想いというものは最後まで謎のまま・・・
全13章の構成でそれぞれの章において、第三者が一つの出来事を語ることにより
雪穂と亮司の関係が浮かび上がっていく・・・という仕立て・・・
幼いころからおそらく二人でかばいあい・・・互いだけを支えに信じて生きてきたのであろうと想像するのみ・・・
真実は明確に文章化されていないけれど・・・私はものすごく深い・・・誰にも計り知れない真実の愛が二人の間には存在したと感じた
深い痛手を負った獣としての雄と雌が他の動物から巧妙に逃れるために最善の知恵を絞り野望を果たしていく・・・
二人ともがそれぞれ別の場面で口にする「太陽の下で生きたことはなかった・・・いつも白夜を歩いてきた」
その言葉に図り知れない絶望を抱えながらも懸命に生きてきた二人の生きざまが現われている・・・
これがのちの東野小説「幻夜」の美冬と雅也に繋がっていく
暗いけど・・・読むのを止められない力があった・・・立て続けにボディブローをくらったようなような呆然自失してしまった一冊であった