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河野太郎大臣が旧統一教会関連団体の創設大会に祝辞を贈っていた!
その日、東京全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル東京)の大宴会場は900名もの客で超満員だった。
在日同胞の統一は韓半島(朝鮮半島)の統一の始まり。そう謳う「平和統一聯合」の創設大会が始まり、来場者たちは快哉を叫んだのだが――会場で取材していた写真家でジャーナリストの伊藤孝司氏はすぐに違和感を覚えたという。
「在日コリアンのための平和団体だと聞かされていたのですが、主催者の挨拶などに『真の愛の精神』『天意に従う』という宗教用語が繰り返し使われていて、日韓トンネルの話まで出てきたところで、
『これは統一教会(現世界平和統一家庭連合)傘下の団体だ』と気付きました」 伊藤氏があらためて大会パンフレットの来賓をチェックすると、統一教会の幹部(当時、以下同)や統一教会傘下の鮮文(ソンムン)大学総長などの名前があった。
「驚いたのは、自民党と民主党(当時)の代議士3人が壇上に並んでいたこと。
司会者に紹介された後、挨拶した議員もいました。 実はこのイベントの1週間後に第20回参議院選挙が控えていた。選挙応援で多忙を極めているはずの議員たちがわざわざ出席するなんて、よほど政治的に重要なのだと思いました」(伊藤氏) 続いて、祝辞が読み上げられた。
元農林水産大臣の玉澤徳一郎氏(84)に続き、現消費者担当大臣の河野太郎氏(59)のメッセージが代読された。
〈歴史的な平和統一聯合の創設を心よりお祝い申し上げます。ご参集の皆様の高い志に深い敬意を表します。在日コリアンの和合が半島の和合、さらにアジア、世界の和合へとつながると確信しております。またはるばる大韓民国よりお越しいただいたご来賓の方々に心より感謝申し上げます。
この歴史的大会のご成功、そしてその運動のご発展を心から祈念申し上げます〉 他にも元国家公安委員会委員長の小此木八郎氏(57・自民)や日本維新の会で参議院幹事長を務める室井邦彦氏(75)らから祝辞が寄せられていたが、名前だけの紹介に終わった。
「河野氏が祝辞でわざわざ触れた”大韓民国からの来賓”は統一教会幹部などを指します。統一教会傘下団体のイベントだとよくわかったうえで、河野氏は祝辞を贈ったのでしょう。
創設大会終了後に行われた晩餐会では、落選中の議員が選挙応援を呼びかけた後、割れんばかりの拍手に迎えられて桜田淳子さん(64)が登場。韓国語を交え、涙ながらのスピーチを行いました。
桜田さんは文鮮明(ムンソンミョン)氏が語ったことを『御(み)言葉』として、何度も紹介していました。統一教会の合同結婚式に参加しただけでなく、熱心な信者であることがわかりました」(伊藤氏) ’04年7月のことである――。
「弊事務所では発信を確認できませんでした。いずれにしても、消費者庁としては被害の未然防止、救済に向けてしっかりとした対応をしていきます」 河野太郎事務所は本誌取材にこう回答した。ではなぜ、朝日新聞のアンケートに、旧統一教会および関連団体との一切の付き合いを否定したのか。
政治アナリストの伊藤惇夫氏は「この問題は根深い」と声を落とす。 「河野太郎よ、お前もか――という感じですね。
『霊感商法等の悪質商法への対策検討会』を立ち上げるなど、河野大臣は積極的に動いている。宗教団体の解散も議論すると踏み込んでもいて、国民の期待は高いでしょう。
うまく立ち回るタイプではなく、猪突猛進型。統一教会問題で自身の存在感を高めてやろうとは思っておらず、自民党では珍しく問題解決に意欲的。そこは評価しています」 ただ、厳しい対応をする一方で祝辞を贈っていたとなると話は変わってくる。
「河野事務所の政策秘書は長く仕えている人だからわからないはずがない。事務所の手抜かり、チェックミスだったとしても、最終的な責任は議員本人にある。
朝日新聞に祝辞を贈ったことはないと答えているのだから、説明責任を果たさないといけない」(伊藤惇夫氏) 旧統一教会と関連団体との決別を宣言した自民党。潔白を主張し、問題追及の先頭に立っていた河野大臣の祝辞が、パンドラの箱を開けることになるか。
『FRIDAY』2022年9月23日号より