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韓国で「ウォン安」がヤバいことに…! 韓国人が「日本に行けない」、いま直面する「三重苦」の危ない現実!
間もなく夏休みシーズンに突入する韓国で、日本に旅行に行きたい人が急増している。前編記事『韓国で「チケット争奪戦」が勃発…! いま「夏休みに“日本に行きたい”韓国人」が“爆増”している…! 』では、ある決済サービス会社が韓国の20~50代の男女1,000人を対象に海外旅行に関連した調査を行ったところ、トップが日本であったことを紹介。実際に、6月29日からはコロナ禍で途絶えていた金浦~羽田便が1週間に8便で再開されると、チケット争奪戦まで起きていることを紹介した。
コロナ禍で旅行もままならなかった韓国人たちの希望が爆発している形だが、じつはそのウラではその希望を挫くような現実も起きていた――。その最新事情をレポートしよう。
韓国人の「希望」と「現実」
韓国観光公社の直近の調査では、韓国人の「希望と現実」に隔たりがあることが現れている。 今年1月~4月までの「行きたい旅行先」には日本をはじめ、欧米諸国も含まれていた。 しかし、この7月~8月にかけての航空券の予約状況を見ると、まったく違った現実が浮かび上がってきたのだ。 というにも、その結果はバンコク(タイ)が1位であり、以下、ダナン(ベトナム)、グアム(米領)、ホーチミン、ハノイ(いずれもベトナム)と東南アジアで占められているのである。 いったい、なぜか――。
「日本に行けない」大問題
日本が相変わらず人気の旅行先として健在であることを示したことで、このまま、ビザなし観光も緩和されれば、日本へ行く韓国人旅行社は急増することは間違えないだろう。 日本旅行の人気の秘密は距離が近い、時間がかからないことはもちろんのこと、北から南まで観光地が充実していたり、グルメ、ショッピングなど年代を越えて楽しめるというのが挙げられる。
また、レアなところでは、日本の若者がKPOPに憧れるように、10代~20代の若者が特に日本旅行で渇望しているのがアニメやマンガの舞台を周る「聖地巡り」や、フィギュアやキャラクターグッズのショッピングをしたいという声をよく聞く。
「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」を初め、Netflixで新作アニメがほぼリアルタイムで視聴できるというのも日本のカルチャーブームの要因となっていると言える。
しかし、高まる期待とは裏腹に実際には厳しい現状が日本旅行を阻んでいるとも言える。それは、現時点では、日本の場合、入国はツアー旅行によるものが基本であり、個人旅行への門戸が開かれたとは言い難いのである。
「物価高騰」が直撃
日本も入国後の隔離等の制限については韓国を含めた大多数からの入国を緩和し、ワクチン接種の有無に関係なく入国後の行動の制限に縛りはなくなっている。
しかし、それでもネックとなっているのはツアー旅行であっても観光ビザの申請と取得が必要となり、取得までには時間を要するため、旅行の際にはこうした点も含めて余裕を持った計画を立てなくてはいけないことだ。
2019年の反日政策の「NO JAPAN」や、2020年からコロナ禍により日本への旅行の機会が遠ざかっていた中で、日本旅行への期待が大きくなりながらもやはりまだまだ気軽にとはいかないようである。
前述のような入国先のビザ申請の手間暇よりもさらに最近、旅行を待ち望んでいる人達の悩みの種となっているものがいくつかある。 その一つが世界的な「物価高騰」だ。 韓国でもあらゆるものが値上がりが顕著となり、家計を直撃している。
そのような中で、特に海外旅行においては、旅行者の増加傾向により航空券代のアップのほかに、原油高の影響により航空機の燃料サーチャージが大きな負担となっている。 日本便については往復16万ウォン(日本円で約16,000円)、東南アジア便では50万ウォン(約52,000円)、欧米便はこれらよりも高い場合もある。
「ウォン安」がヤバい
さらに追い討ちをかけているのが記録的なウォン安である。 昨年10月時点では1ドルが1,118ウォン(約117円)であったものの、7月13日は1ドル=1,307ウォン(約137円)であり、これは2009年以来の最安値の水準となっている。
物価高とウォン安というダブルパンチはこれまで気軽にできていた海外旅行が手の届かないものになりつつあることを実感させる。 また、もう一つの懸念は新型コロナの再流行である。
日本では現在、「第7波」の流行期に入っているとされ、東京都では4ヶ月ぶりに1日の感染者が1万人を超えている上、全国的にも連日、感染者数の増加が続いている。
日本とは「対照的」
現在はオミクロンの変異ウイルスであるBA.5の流行が中心であり、従来と比較してより感染力が強いとされている。 それでも今回は日本側は「行動の制限を呼びかけない」という立場を示しているものの、今月から行う予定であった「全国旅行支援」の実施を当面延期することにした。
韓国でもやはり、先週より各地で新規感染者数が再び増加に転じている。 しかし、韓国では2月~3月にかけて1日数十万人という爆発的な流行を経験したせいか、すでに新型コロナについて気に留めたり、不安に思う様子も少なくなっている。
新型コロナはもはや過去のことととらえている印象であり、このあたりは日本とは対照的である。 筆者自身も大幅な出入国の制限が緩和される前に日本と行き来をしたものの、初期と比べてだいぶ楽になっていることを実感する。
まだまだ時間がかかる…
しかし、それでも日本と韓国にそれぞれ入国をする際にPCRもしくは抗原検査を行い陰性証明書を取得するのは、手間もかかる。
欧米ではすでに入国前の検査を不要としている。 何事にも慎重である日本が完全にコロナと共存し、海外からの観光客を全面的に受け入れるにはまだ時間を要するものと思われる。