韓国国立現代美術館 果川館の続編です。
《MMCA所蔵作品特別展;近代を彩った絵》
韓国国立現代美術館(MMCA)の所蔵作品で、近現代の韓国を代表する作家の傑作150余点
が展示されていました。
余談ですが、観覧料は無料、寄贈作品特別展も無料でした。 韓国の国立美術館や博物館は、無料
のケースが多く、リーズナブルです。 文化興隆の国策の一環でしょうか。
1900年代の初期の作品からいくつかピックアップ。
日本画の雰囲気を感じる作品。 日本の統治の影響が、文化面でも顕れています。
しかし、そのことが、1970~80年代にかけて、韓国美術界において、彩色画が日帝残滓として
排除されていくことになります。 芸術の世界は、そうした遺恨を昇華するところに意義がある
と私は思うのですが。
油彩の作品が出てくるのは、1930年あたりから。
会場光景
ナ・ヘソㇰ 《Dancers》 1940 油彩、キャンバス
なぜか気になる作品で、キャプションを読むと、韓国で最初の女性西洋画家とある。
今回、ブログを書くにあたって調べてみた。
ナ・ヘソク(羅蕙錫 1896年~1948年)
波乱万丈の人生で、晩年は不遇で孤独の中に死去しています。 この絵は、1940年制作。
絵からは、強い個性を感じます。
農村の田植えなどの光景が、ゆったり、軽やかに描かれている。 構図も面白い。
1950年になると、この年に勃発した朝鮮戦争の影響が出てきます。
イ・ジュンソㇷ゚は、2年前、徳寿宮館で開催された特別展を見ていたので知っていました。
日本人の奥さんと二人の子供を愛していたのですが、戦争の影響で、妻と子供を日本に帰
した後、苦難の生活の中、病死しています。 この絵は、まだ家族と一緒に暮らしていた
時のもの。
1953年に休戦が成立。 板門店を描いた絵です。 作者は寄贈作品特別展でも紹介したピョン・ウォリョン。
この絵は、捕虜の送還がテーマ。 上の絵と同じ作者ですが、作者は現場にいたのだろうか?
会場光景
美人画のような、劇画イラストのような面白い絵。
写真も当時の状況が反映されています。
上の写真から、抜粋
水汲みも大変な仕事だった。
千鏡子(チュン・キュンジャ)の1968年の作品。 映画スターのグレタ・ガルボを描いたと
記されています。
私は、前日、ソウル市立美術館にいって、千鏡子の常設展を見てきました。 日本の女子美大を卒業した方で
強い色彩と強い線、独特な女性の描き方が強く印象に残っています。
この絵も、幻想的な雰囲気と色使いがいい感じです。
ただ、この記事を書くときにWebサイトで調べると、1991年の韓国現代美術館の千鏡子企画展に、作家本人が
贋作だと指摘した美人図の撤去を要請したが、美術館は真作だと言い張り、以来、20数年にわたり、裁判沙汰になり、
2016年に韓国検察当局が真作と判定し、不起訴処分になった事実を知りました。
作家本人が贋作と指摘しているのに、真作と言い張る美術館に驚き。
この美術館では、展示会場の外側・回廊部分の壁面にもいい作品が展示してあります。
日本でも著名なリー・ウーファンの作品
タイトルが上《6月25日以前の金さんの家族》、下《6月25日以後の金さんの家族》
タイトルは《韓国近代史ー金剛》と読めます。
金剛山から、怒りと悲しみと苦難のマグマが流れ落ちているように見えました。
鑑賞を終えて、今朝コーヒーを飲んだカフェテリアでランチ。 きしめんのようなスパゲティがおいしかった。
次はソウル市内の三星美術館LEEUMに行くことにし、歩いて地下鉄大公園駅に向かいました。
黄色い制服を着た園児たちの野外授業かな?
果川貯水池の秋の景色が美しい。
池の周りで、西洋系の子供たちが遊んでいました。
ソウル市内の地下鉄漢江鎮駅から歩いて、三星美術館LEEUMに行く途中、彫像と紅葉をパシャ。
三星美術館LEEUMでは館内撮影は禁止ですが、一か所撮影OKな場所で、天井のミラーを利用して自撮り。
オラファー・エリアソン 《重力の階段》2014 の中から
この美術館の古美術、なかでも陶磁器は本当に素晴らしい。
鑑賞を終えて、デッキテラスを撮影。
夕食は、ソウル初日に行った、乙支路3街の「トンウォンチッ 」へ
夕5時半頃で、一人で食事をしている客が多かった。
注文したのはスンデクッ。 豚の腸に詰め物をしたもの。 何を詰めているかは知らない方がいいかも。
食事を終えて店の外から通りを撮影。 この通りが、もう1時間ほどすると、テーブル席で溢れ、野外居酒屋と化します。
日中、このあたりは道具屋街のようです。
せっかくなので、ノガリ横丁といわれる、この通りの名物、ノガリ(たらの幼魚の干物)を注文してみました。
私的には、少しパサパサしていて、イマイチでしたが、地元で、小さい時から食べ慣れていると、病みつきに
なる味なのでしょう。
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