JINX 猫強

 オリジナルとかパロ小説とかをやっている猫好きパワーストーン好きのブログです。
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真夜中の怪談  4 (聖闘士学園へようこそss)

2014-04-14 05:27:00 | ノンジャンル
「だって、オレ…夜中に起こさたことがあるんだ、トイレに付いてきて欲しいって」
「あっ古賀、誰にも言わないでくれって頼んだのに」
 氷河が頬を染め、猛抗議した。
「どうして、トイレになんか…」
 そこで、瞬は言葉を切った。
 氷河は大の怪談嫌いであった。
 ユーレイの話に怯える。
 同じ冥界繋がりでも、冥闘士(スペクター)たちなら殴り直せるが、霊はそういうわけにはいかないと、ただひたすら怯える。
 その氷河が、この学園のある富士の青木ヶ原樹海が、日本で有数の心霊スポットであることを知ってしまった。
 今でこそ落ち着いたが、少しの物の影にも、確かに氷河は怯えていたときがあった。
「なーんだ、それでか…」
 瞬が笑った。
「なーんだって――ここにも出るんだろう?」
 氷河は左右を伺い、瞬の耳許に囁いた。
「出るって。なにが?」
 氷河が兄に操られているわけではないと知り、瞬は機嫌を直した。
「ほら、夜中に…白い…ほら…」
 それは夏頃から、囁かれ始めた噂であった。
 深夜、この浴場から水音がし、覗くと誰も居ないという、典型的な検証の目撃談が上り、学校の調べでも確かに湯を落とし、乾燥している筈のタイルが、ある一部分だけ濡れていた、という報告が上がったことがあった。
 学校はイタズラと決めつけたが、氷河の震えは止まらなかった。
 それ以来、氷河は一人での入浴は避けるようになっていた。

「つづく」