秋の七草の一つ「フジバカマ(Eupatorium japonicum)」は、絶滅が危惧される品種のようだ。
奈良時代に中国から伝わり、水辺で繁殖する大型の植物で、秋に赤紫の小花を咲かせる。
奈良時代を代表する歌人“山上憶良”が、万葉集に詠んだ歌
「秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種の花」(万葉集・巻八 1537)
が“秋の七草”の由来のようだが、いまでは水辺の改築工事などで減少しつつある。
秋を期待するにはチョッと気が早いが
“秋の七草”は、 “春の七草”と異なり食べるのではなく眺めて愉しむものだが
萩(はぎ)、尾花(おばな=すすきのこと)、葛(くず)、女郎花(おみなえし)、
藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)、撫子(なでしこ)
となる。
わが庭にもかつては存在したが、切り替わってなくなるように、
公園・植物園などに行かないとお目にかかれないようになっている感がする。
(写真)大柄なユーパトリウム チョコレートの立ち姿

替わって増えているのが、フジバカマの近縁種で北アメリカ原産のユーパトリウム・チョコレート。
チョコレートといわれるように赤紫の葉が特徴で大柄、株間1mは必要だろう。
7月中旬から花穂をつけ、たっぷりと時間をかけて白い小花が咲いた。
耐暑性に強いようだが、直ぐ水切れを起こすので、やはり水辺の植物の性質を引き継いでいるようだ。
根で増えるので地植えの場合は間引くなどしないとあっという間に増殖しそうだ。
葉の大きさなどから見ると小さな花だが、ダイヤモンドのようなキラメキをしている。
(写真)ダイヤモンドのようなきらめき

ユーパトリウム・チョコレート(Eupatorium Chocolate)
・キク科ユーパトリウム属の耐寒性がある多年草。耐暑性も強い。
・学名はEupatorium rugosum ‘Chocolate’(ユーパトリウム・ルゴスム‘チョコレート’)。
・Eupatorium rugosumの英名は White snakeroot, White sanicle(sanicleはウマノミツバ)。チョコレート種には合わないが、ミツバの葉にいている、根が蛇のようにくねくね伸びてはびこる特徴は出ている。
・和名は、紫葉白花玉咲フジバカマで葉と花の色をしめしている。
・秋の七草の一つであるフジバカマ(E. japonicum)もこの属に入る。
・原産地は北アメリカ東部。
・草丈1mと大きい。根で殖えるので地植えの場合は株間を取る。摘心でつめる。
・葉は対生卵形で先がとがった鋭い鋸のような歯がつく。
・開花期は8~10月。
・褐色の茎、葉に白い花が咲きコントラストが美しい。
・花後はすぐに花柄を切る。
・冬に地上部が枯れ始めたら、根際まで短く刈り込む。
この花は、1926年、箱根の強羅の雑木林で、沢田武太郎氏によって発見される。経路は謎だが、戦後は各地で帰化。
(写真)ダイヤモンドの輝きのアップ
