モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

No30:プリングルが採取したサルビア その12、不明なサルビア

2010-12-05 09:10:18 | メキシコのサルビアとプラントハンター
メキシコのサルビアとプラントハンターの物語 No30 

【詳細不明なサルビア】
プリングルが採取したサルビアで、植物情報が不明なもの及び画像がないものを記載する。この中には現存していないで絶滅したもの、及び、新種として認められずに正しい品種に統合されたものなどが含まれる。

35. Salvia albicans Fernald (1901)
このサルビアは、1900年9月14日にプリングルがメキシコの南西部で採取し、先に発見したSalvia brevifloraと類似であり説明は次を参照。

36. Salvia breviflora Moc. & Sessé ex Benth. (1833).
このサルビアを西洋人として最初に発見・採取したのは、ボヘミア(チェコ)の自然科学・植物学者プレッスル(Presl,Jan Svatopluk 1791-1849)とその弟の植物学者カーレル(Presl ,Karel Bořivoj 1794–1852)で、1832年頃にメキシコに植物探索に出かけていてこのサルビアを採取した。記録に残るメキシコ初期のプラントハンターの一人であり、このシリーズで取り上げようとしたが資料の少なさで断念した。
プリングルは、1903年10月22日にメキシコシティに近いモレーロス州のヤウテペック(Yautepec)でこのサルビアを採取しているが植物の詳細はわからない。

37.Salvia albocaerulea Linden (1857) 
サルビア・アルボカエルリアは、最初に誰が発見したか良くわかっていないが、1857年にベルギーのプラントハンター、リンデンを敬して名付けられた。プリングルは、1899年2月15日にメキシコ南西部太平洋岸のモレーロス州クエルナバカでこのサルビアを採取している。しかし、実物はどのようなものか良くわからない。
クエルナバカは、メキシコシティから1時間のところにあり、スペインの征服者コルテス(1485-1547)が、1530年にアステカの神殿を破壊し、その石で自分が住む宮殿を作ったところで、年間を通じて20℃という快適な気候に恵まれている。

38.Salvia arthrocoma Fernald (1907). 
メキシコ、イダルゴ州 (Hidalgo)トリニダードの深い峡谷で1904年7月16日に採取。

39.Salvia assurgens Kunth (1818). 
プリングルは、1892年7月18日にメキシコ、ミチョアカン州(Michoacán)の州都モレーリアで採取した。モレーリアは、1541年にスペイン人によって建設された古い町であり、1640年から1世紀にわたって建設が始ったカテドラル(大聖堂)がある。
最初の発見・採取者は、フンボルト探検隊のボンプラン(Bonpland, Aimé Jacques Alexandre 1773-1858)であり、彼らもこの完成した大聖堂を見たのだろう。

40.Salvia axillaris Moc. & Sessé (1833).  サルビア・アクシラリス
メキシコ、サン・ルイス・ポトシで1878年パリー&パーマが採取し、その後の1898年7月18日にプリングルがメキシコシティの真上に位置するイダルゴ州でこのサルビアを採取する。
サン・ルイス・ポトシからオアハカへの中部メキシコ原産の多年生植物で、草丈100㎝、花は小さな黒紫色の萼内部に隠される小さな白いチューブというから是非見たいと思ったが、写真を見つけることが出来なかった。

41. Salvia candicans M. Martens & Galeotti(1844).  
プリングルは、1895年12月21日にメキシコ、プエブラ州でこのサルビアを採取している。マーティンによって命名されたのが1844年なので、大分間があってから採取された。

42. Salvia chalarothyrsa Fernald (1907).
1904年10月27日にメキシコ、ハリスコ州トゥスパンの丘でプリングルが最初に採取・発見した。

43. Salvia comosa Peyr. (1859) 
サルビア・コモサは、1859年にオーストリアの医師で植物学者ペリッチ(Peyritsch, Johann Joseph 1835-1889)によって命名され、プリングルは1903年9月14日にメキシコで採取している。
しかしこのサルビアは、後にSalvia laevis Benth. (1833)と同じであるとされた。

44. Salvia connivens Epling (1939).
このサルビアは、プリングルが最初の発見者で、1890年7月23日にメキシコのサン・ルイスポトシで採取している。
UCLAの植物学教授でサルビア属の権威となるエプリング(Epling, Carl Clawson 1894-1968)が1939年に命名する。

45. Salvia heterotricha Fernald (1900).
プリングルは、1901年5月13日にメキシコ、ハリスコ州グアダラハラで採取しているが、このサルビアの最初の発見採取者はパーマ(Palmer ,Edward 1831 -1911)であり、同じハリスコ州のリオ・ブランコで採取した。

46. Salvia igualensis Fernald (1901).
プリングルは、このサルビアをメキシコ、ゲレーロ州イグアラの石灰質の山で1900年9月20日に採取した。
しかしながら、このシリーズNo10でとりあげたギエスブレット(Ghiesbreght, Auguste Boniface 1810-1893)が1865年11月24日にメキシコ、チアパス州で採取したサルビア・ギエスブレッティー(Salvia ghiesbreghtii Fernald(1900))と同じであり、このサルビア名が採用される。

47. Salvia laevis Benth. (1833).
メキシコに来た初期のプラントハンター、グラハム(G. J. Graham)が1830年にメキシコ、メヒコ州の州都トルーカの北西方向にある銀鉱山が1558年に発見されたTlalpujahuaで最初に採取した。プリングルは、1892年7月30日にグラハムが採取した場所より西側にあるミチョアカン州パツクアロで採取した。

48. Salvia leptostachys Benth. (1833). 
プリングルは、1900年10月18日にメキシコ、モレーロス州の古都クエルナバカでこのサルビアを採取する。

49. Salvia lozani Fernald(1907)
このサルビアは、不思議なことにプリングルしか採取していない。彼は、1904年にイダルゴ州の松林の中の湿地帯近くで採取したと記録されている。

50. Salvia nepetoides Kunth(1818)
このサルビアは、フンボルトとボンプランが1803年頃メキシコで採取したのが最初のようだが、それ以降1898年にプリングルが採取するまで記録がない。
名前の由来は、日本でも馴染みのカラミンサの学名(Calamintha nepeta)ネペタに似た花ということなので、ミントの香りがする白花なのだろう。

51. Salvia oreopola Fernald (1900)
プリングルがメキシコ、モレーロス州のクエルナバカで最初に発見したサルビアだ。

52. Salvia platyphylla Briq. (1898).
このサルビアは、プリングルが1889年7月3日にメキシコ、ハリスコ州グアダラハラで採取している。最初に発見採取したとされているが、このシリーズNo14 でとりあげたパーマが1886年に同じハリスコ州で採取している。

53. Salvia podadena Briq. (1898).
シリーズNo8でとりあげたガレオッティ(Galeotti, Henri Guillaume 1814-1858)が最初の発見・採取者で、メキシコ、オアハカ州で1840年に採取した。プリングルは、1901年8月にメキシコ、プエブラ州で採取している。

54. Salvia thyrsiflora Benth. (1846). サルビア・ティルシフローラ
1840年以前にBarclayがメキシコ、ナジャリ州テピクで採取したとあるが、謎の人物で良くわからない。また植物情報も少ない。
プリングルは、1891年11月26日にミチョアカン州パックアロでこのサルビアを採取している。このパックアロ(Pátzcuaro)は、パックアロ湖畔に作られた街で美しい自然とコロニアル調の街並みが美しいという。

55. Salvia tricuspidata M. Martens & Galeotti (1844).
このサルビアの最初の発見者は、ベルギーのプラントハンター、ガレオッティ(Galeotti, Henri Guillaume 1814-1858)で、1840年にメキシコの南西部で採取した。
プリングルは、1894年8月28日にオアハカ州の3000mのところでこのサルビアを採取した。

56. Salvia urolepis Fernald (1910)
プリングルが1903年8月25日にヌエボレオン州モンテレイで最初に発見・採取したサルビアだ。


ここまで目を通す人はいないだろうなと思いつつも、プリングルに敬意を表して書くことにした。他のプラントハンターのところで記述したサルビア21品種も残っているが、そこまでフェティッシュになることもあるまいと思いつつ割愛することにした。
しかし、最後まで目を通した方がいたとしたら感謝すると共にその動機を知りたいなというのが個人的な関心でもあり、コメントをいただければうれしい限りです。
プリングルはこれで終わりですが、まだ書きたいプラントハンターがいるので、気力が整い次第継続をいたします。
コメント