(写真)ラムズイヤーの立ち姿
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ラムズイヤーは、羊の耳というだけあって、
銀白色で繊毛に覆われた肉厚の長楕円形の葉に特色があり、
この手触りのよい素材に触ると、誰でもがやさしくなれる感触を伝えてくれる。
コーカサス地方が原産地であり、陽射があり乾燥した冷涼なところがお気に入りで
日本の高温多湿には合わないが、
鉢うえで梅雨の時は屋根のした、暑い夏には木陰など半日陰に移動させると
銀白色の柔らかな質感が目をなごませてくれる。
5月下旬になると、葉の付け根辺りにネックレスのようにぐるりとつぼみがつき
ピンクの口唇型の小さな花がひっそりと咲く。
決してきらびやかではないが、乾燥した岩肌の大地での潤いのような輝きがある。
庭の色彩をコーディネイトする時に欠かせない色合いであり、
葉の色が灰緑黄色の美しいプリムローズヘロン(Primrose Heron)など
園芸品種が結構あるので、庭をコーディネイトする時に検討すると良さそうだ。
(写真) ネックレスのようなラムズイヤーの花
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ラムズイヤーの歴史
ラムズイヤーの属名スタキス(Stachys)は、ギリシャ語のStachusからきており、
“穀物の穂(ear of grain)”或いは“穂(a spike)”を意味している。
穂のようにのびる花序に花がつくところから名付けられた。
チョッとわかりにくいが、
穀物でも、ムギなどではなくトウモロコシなどの穂とすると感じがつかめる。
このラムズイヤーは、K.Kochによって1849年に採取され学名が命名されたので、
Lamiaceae Stachys byzantina K.Koch と表示されているが
Karl Heinrich Emil Koch (1809 – 1879)は、
ドイツの植物学者でラムズイヤーの原産地であるコーカサス地域での植物採集で著名で
彼の採集した植物コレクションは残念ながら大部分失ったようだ。
彼は、博物学者&南アメリカの探検でも著名なフンボルトの実兄が1810年に設立した
Friedrich Wilhelms Universitat・現ベルリン大学の教授に1847年からなり
その後、ベルリン植物園、ベルリン園芸協会などで要職をも務めた。
ちなみに
園芸協会は、植物への関心が浸透した1800年代初頭にロンドンから始まった。
その園芸協会を生み出す原動力は、
“コーヒーハウス”に集まった園芸の趣味人だった。
“コーヒーハウス”といえば、フランス革命だけでなく、協会・学会・メディア・保険など
‘近代’を産み出す基地となった。
(写真)ラムズイヤーの葉
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ラムズイヤー(lamb's ears)
・シソ科スタキス(和名イヌゴマ)属の耐寒性がある多年草ハーブ。
・学名はStachys byzantina(=S.lanata)。英名Lamb’s ears、和名ワタチョロギ、別名スタキス。
・原産地は、西アジアからコーカサス(イラン、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア)
・草丈は30センチでほふく性があるので横に広がる。
・花は、初夏から秋の赤紫の小花が穂に付く。
・湿気・夏場の直射日光に弱い点を注意。梅雨の時は屋根下に、夏場は風通しの良い半日陰で育てる。
・耐寒性は強いので、霜が当たらないところであれば戸外でもOK。
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