モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

ときめきの植物学 その37 22歳で消えたポカホンタスの愛

2008-03-13 07:58:50 | ときめきの植物雑学ノート

タバコとポカホンタス
ローリー卿が果たせなかった夢である新大陸の開拓事業を
軌道に乗せることが出来たのは、 “タバコ”と“ポカホンタス”だった。
もっと大胆に言うと、
“タバコ”と“ポカホンタス”がアメリカ合衆国の基礎を創ったと言ってもよい。

“ポカホンタス”はディズニーアニメのキャラクターではなく
実在の人物で、ロンドンに行った際に録った銅版画だけに肖像が残されている

“ポカホンタス”には後ほど登場してもらうとして、
“タバコ”がアメリカ合衆国を作った話からはじめよう。

ローリー卿の失敗
ローリー卿のロアノーク島入植事業は失敗した。
要因はいろいろあるが、いつの世でも変わらないのは、
資金力でどれだけ支えられるかという体力と、
ビジョン・方針を具体的に遂行できる人間とその組織力、
そして運が必要だが、

ローリー卿の個人および少数の仲間での出資という資金力のなさ、
仲間といえば、危険で未知の領域にチャレンジしたのは海賊と若干の専門家で、
食料の自給自足を考えていたのはごく少数だった。
多くはもともとが海賊なので、スペイン同様に黄金の一攫千金を狙っていた。
黄金がなかったことに挫折し、食料もなく、スペインとの戦争で補給ができなかった。
という運もなくロアノーク島への第2次入植者は、全員が消えてしまった。

ヴァージニアのタバコ
1612年ヴァージニアの入植地で、ジョン・ロルフ(John Rolfe:1585-1622)が
西インド諸島から手にいれたN・タバクムの種子で煙草の栽培を開始した。
現地産の煙草はあまり美味しくなかったが、カリブ海の島で栽培されたものと交配して
つくったこの新種が本国で大評判となった。
ここに、新大陸の植民地での経営スタイルが誕生した。

タバコなどの換金作物を大農園で栽培し本国に輸出するということだが、
1618年には、ヘッドライト(人頭権)制という大農地を、
株主(1人100エーカー)、新たに自費で渡航してくる者(1人50エーカー)に支給する制度が実施された。
1エーカーは約4046㎡なので、労働力から見てかなり広い土地を支給した。
1619年にはオランダが西インドから20人の黒人労働者をヴァージニアに運び、
これが、黒人労働者での大プランテーションの契機となる。

広い土地、アフリカからの奴隷、換金作物の栽培という
現在のアメリカ的農業は、タバコから始まり、
これが植民地の経済基盤を作り、人が集まり町となり、そして議会を作るまでになった。
北米最初の議会は、タバコ栽培にめどが見えた1619年に
ジェームズ1世にちなんで名づけられたジェームズタウンで開かれた。

ポカホンタス
ヴァージニア新植民地の成り立ちを“タバコ”で救うことになるジョン・ロルフは、
インディオの酋長の娘ポカホンタス((Pocahontas、1595頃-1617))と結婚した。
ポカホンタスは、ヴァージニア移民白人を友達として扱ったインディオであり、
ロルフとの子供は、アメリカ人第一世代とでもいえる存在だ。

資金不足で困っていたヴァージニア会社は、新たな投資を募るために
ポカホンタス一家を1616年にロンドンに派遣した。
この広告宣伝活動は大成功ではあったが、
ポカホンタスは、ヨーロッパの病原菌に犯され翌年に死亡した。
22歳であった。
ポカホンタスは、アメリカ建国の恩人として慕われている。
真偽は不明だが、
ブッシュ大統領一族のルーツは“ポカホンタス”だと言っているそうだ。
短いなりに歴史にこだわるアメリカ人の、氏素性にこだわる心情が垣間見られる。
だが、レーガン元大統領の夫人ナンシーさんは正真正銘の
“ポカホンタス”の子孫のようだ。

改めて、ディズニーのアニメ『ポカホンタス』を見た。
子供相手のアニメといいながらも、アメリカ合衆国始まりの出来事だけあって、
アメリカ人或いはディズニーにはこだわりがありそうだ。
このアニメを見る限り、ポカホンタスの結婚相手は
入植者隊長のジョン・スミス(1580-1631)と思ってしまう。

“タバコ”“ポカホンタス”が、イギリスの植民地経営を軌道に乗せたといってもいいが
1607年―1622年までにヴァージニア会社が送り込んだ入植者1万人のうち
1622年以降まで生き延びたのは20%にすぎない。
というからニューフロンティアは危険だった。
現代の平和で安全なニューフロンティアはありがたいが、
危険率が低いだけにリターンも低くなるのは当然だろうし
欲をかいてはいけないということだろう。


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