モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

エキナケア(Echinacea)の花

2009-06-29 07:47:56 | その他のハーブ
(写真)エキナケアの花


ハリネズミのようなこの花は、いつのまにか庭から消えてしまった。改めて今年チャレンジして育てることにした。
この「エキナケア」は、ハーブ園、庭などの定番となっている花になっているが、原産地アメリカからヨーロッパに伝播した花として、メモリアル的な花であることに改めて気づかされた。

今、見直されているハーブ
アメリカの先住民は、蛇にかまれた毒、感染症などにこの「エキナケア」使っていたという。最近の科学では、抗ウイルス性があり白血球を増やすことが確認されていて、エイズなどの治療役の研究がされているという。

プラントハンター草創期の花
「エキナケア」は、米国の中部・東部の乾いた原野に咲き、この花がヨーロッパ・イギリスに伝わったのは、プラントハンターの草創期にあたる。

ロンドン郊外のフルハムにはロンドン主教の公邸がありそこには立派な庭があった。1675年に英国国教会ロンドン主教となりここに住んだコンプトン主教(Compton,Henry 1632-1713)は、植物を育てるのが大好きで、彼が管轄した新植民地アメリカからもその教会の組織を使って植物を送らせた。
組織的なプラントハンターの最初は、このコンプトン主教のネットワークを活用したことから始まった。キュー植物園をベースとして国家的な事業に仕立て上げたバンクス卿(Sir Joseph Banks, 1743−1820)が出現するのは一世紀ほど後となる。

ちょっと先回りをするが、このコンプトン主教の死後彼が集めた珍しい植物をひきついだのは、植物の販売カタログを最初につくったクリストファー・グレイ(Gray, Christopher 1693?-1764)で、さらにこのグレイのフルハムにある栽培園を後に引き継いだのが南アフリカで「ガザニア」を採取したバーチェリーの先祖となる。

江戸時代には染井がナーサリーの集積した場所であったが、フルハムもコンプトン主教以後ナーサリーの集積する場所となる。

このコンプトン主教のプラントハンターとなったのが、バニスター(Banister, John 1650-1692)であり、彼はブラジル、西インド諸島での布教活動の後、1678年にコンプトン主教からアメリカ・バージニア植民地に伝道師として派遣され、植物採集も行いコンプトンのところに採取した植物などを送り出していた。この中に、「エキナケア」があったという。

ヨーロッパに最初に「エキナケア」をもたらしたのは、バニスターということになるが、バージニア植民地の裁判所職員クレイトン(Clayton, John 1686-1773)も、1730年代にバージニアで採取した多数の植物標本をオランダの植物学者グロノヴィウス(Jan Frederik Gronovius)に送っている。クレイトンの植物標本は、グロノヴィウス及びリンネのアメリカ植物研究と分類の下敷きになる重要な部分を占めたという。

「エキナケア」は、科学的に見直されるハーブであり、大航海時代以降のアメリカからヨーロッパに渡った植物の中でも登場人物がいたるところで登場するメインランドにある植物でもある。

(写真)エキナケアの立ち姿
        

エキナケア(Echinacea)
・キク科ムラサキバレンギク属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Echinacea purpurea(L.)Muench 1794。属名のEchinaceaは、ギリシア語でハリネズミ、針を意味する“echinos”が由来。種小名は紫を意味する。
・英名は、purple coneflower、エキナケア。
・原産地は、アメリカ合衆国の中部・東部の乾いた高地の草原
・草丈が60-100㎝で葉は細長く一本立ちの茎の上に頭状花を咲かせる。
・開花時期は6-9月で、脱色した感じの赤紫色の花が長期間咲き続ける。
・日当たりが良く水はけがよい土壌。
・殖やすのは春と秋に株わけで殖やす。

命名者:
Moench, Conrad (1744-1805):ドイツの植物学者・大学教授
コレクター:
Banister, John (1650-1692)、英国国教会の修道士・プラントハンター、
Clayton, John (1686-1773)、バージニアの裁判所の職員・プラントハンター。クレイトンがバージニアで採取して1730年頃にヨーロッパに標本を送る。


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2 コメント

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ありがとうございます。 (kazuko)
2009-06-30 00:12:28
エキナケアは役に立つハーブだったのですね。大きいのでそう見えませんでした。以前、アメリカ人の描いた’ワイルドフラワー’のような本をみたとき、エキナケアが確か表紙に描いてありました。きっとなじみの花なのでしょうね。・・・さしめのページ拝見しました。お詳しく書いていただいて、有難うございます。私は結構失敗が多いのですよ。ここまでされてるとは思いませんでした。お忙しいでしょうね。
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和さん (tetsuo)
2009-06-30 00:42:41
派手で絵になるエキナケアですが、相当役に立っていたんですね。私も驚きました。
ハーブは3年ぐらいで株を取り替えた方がいいようです。今年で3年目ぐらいになるので、そろそろ株を取り替えようと思っています。
秋には真剣に取り組みます。
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