9月11日の朝日新聞では、
北海道の中央で、旭川と富良野の中間にある美瑛町「四季彩の丘」では
いまがケイトウの見ごろだという。
富良野のように丘のうねりに色とりどりのケイトウの群生は素晴らしいことだろう。
昔は花の種類が少なかったので、ケイトウは夏の花壇の中心の時があった。
暑さに焼かれた土の上に、色彩だけは派手だが緑が少ない花々。
この印象の中心にケイトウがいたので、ケイトウのイメージは決してよくなかった。
しかし、一瞬でこのイメージが消えてしまった。
(写真)槍の穂先のようなケイトウ
北海道美瑛町のようになだらかな丘一面がケイトウでうめられる雄大さも素晴らしいが、
1本で自己アピールの勝負できるこのケイトウも素晴らしい。
ケイトウの歴史
このケイトウは、奈良時代に中国から渡来したようだ。
万葉集には、詠み人知らずだが次のような詩がうたわれている。
『秋さらば写しもせむとわが蒔きし、韓藍(からあい)の花をだれか摘みけむ』
韓藍(からあい)は、ケイトウではなくベニバナをさすという説があるが、
平安時代以前の薬草が記載された薬草誌『本草和名』では、
韓藍(からあい)のことを“鶏冠草 和名 加良阿為”と書かれているので、
韓藍はケイトウを意味している。
ちなみに、紅花(ベニバナ)は、紅の色合いのことを“くれない”と呼んでいたので、
呉藍(くれない)と書かれた。
くれないもゆる空のしたでカラアイを見ると身も心も“アッチッチ”で火傷をしそうだ。
ケイトウの花言葉は、“色あせぬ恋”というから万葉の歌も奥深い。
ノゲイトウ
・ヒユ科ケイトウ属の1年草でケイトウの近縁種。
・学名は、Celosia argentea。英名はFeather cockscomb、和名がノゲイトウ(野鶏頭)槍ゲイトウ、セロシア。
・茎の上にニワトリのトサカのような花をつけるので鶏頭(けいとう)という名がつけられたが、ノゲイトウは槍の穂に近い。
・原産地はアメリカ南部から熱帯地帯。ケイトウはインド及び熱帯アジアが原産地で、日本には奈良時代に中国から伝わる。
・草丈40cm程度。1mまで大きくなる品種もある。
・日当たり水はけの良い土で多湿を嫌う。
・開花期は8~10月。
・草と根は青箱(セイショウ)と呼ばれ、殺虫・解熱・止血薬として使われていたれっきとしたハーブ。
名前の由来
属名のcelosiaは、ギリシャ語で「燃えるような色burn、熱烈な色burning。焼けたburntを意味する’kelos’に由来」
【参考】
http://www18.ocn.ne.jp/~shikisai/gallery.html
(写真)美瑛町四季彩の丘のケイトウ(同サイトから)