「楽しい」どころか苦しみ増す
「楽しい」どころか逆に、苦しみと危険を増すだけです。
石破茂首相が国会で、今年1年間に取り組む経済、外交・安全保障などの重点課題や政治姿勢を示す施政方針演説を行いました。「楽しい日本」を目指すというスローガンを掲げたものの、その中身は旧態依然の自民党政治そのものでした。
■暮らしの安心に背
石破氏は、「楽しい日本」とはまず「すべての人が安心と安全を感じ」ることだと言います。
自民党政治のもと、30年にも及ぶ経済の停滞と衰退、暮らしの困難が続いています。さらに物価高騰が襲いかかり、暮らしの安心は、最重要の課題です。
石破氏は「物価上昇に負けない賃上げ」を主張します。しかしやろうとしているのは、企業の生産性向上への支援などこれまで成果の上がらなかった施策ばかりです。大幅な賃上げには、空前の利益を上げている大企業の内部留保を賃金や中小企業への直接支援に回すことが不可欠ですが、それには指一本触れません。
暮らしの安心には、生活のために最低限必要なお金には税金をかけないことも大切です。この原則に立って課税最低限の引き上げをはじめ、消費税の廃止を目指した緊急減税に踏み出すべきです。
低年金や介護体制の崩壊などのなか、社会保障の拡充も必須です。しかし、石破氏は、社会保障削減計画である「改革工程」を着実に進めると言います。あまりに冷たい態度です。
「政治改革」の核心である裏金問題の真相解明にも、企業・団体献金の禁止にも言及しません。
石破氏が大企業の内部留保や消費税に切り込めないのは「企業献金と一体の財界中心政治」にどっぷりとつかっているからです。
■ミサイル攻撃想定
さらに国民の安心・安全の大前提は、戦争の心配のない、核兵器のない世界をつくることです。
日本被団協のノーベル平和賞受賞は、核兵器廃絶を求める世界の流れへのいっそうの励ましとなっています。しかし、石破氏は核兵器廃絶の課題には一言も触れません。
トランプ米政権によるさらなる大軍拡への圧力が強まろうとしているもと、日本が「応分の役割を果たさなければならない」と米国言いなりの姿勢を示し、「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と述べました。日米軍事同盟絶対の立場から、国民を戦争の危険にさらす歯止めなき大軍拡に乗り出すことは許されません。
石破氏は、他国からのミサイル攻撃などを想定したシェルターの早急な確保も表明しました。これを「国民の安心・安全」のためと言うのは、まさに本末転倒です。
石破氏は、「楽しい日本」とは「多様な価値観を持つ一人一人が互いに尊重し合い、自己実現を図っていける」ことだとも言いました。ではなぜ、施政方針で選択的夫婦別姓や同性婚の問題を避けて通るのか。
日本共産党は、国民の暮らし最優先、日本の独立・平和のため、財界・大企業の利益最優先、日米軍事同盟絶対の自民党政治のゆがみを正すことに全力を尽くします。
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